SHOWほど素敵なショーバイはない! 公演情報 劇団娯楽天国「SHOWほど素敵なショーバイはない!」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    面白い…お薦め。
    演劇愛に溢れた公演。それは(小)演劇界にいる人たちだけに向けているのではない。劇中「市民の市民による市民のための演劇」の台詞は、どこかで聞いた名言のもじりであるが、公演の根底を表しており、演劇に携わる人々はもちろん 観客をも含むもの。

    物語は素人集団の芝居で興行を行おうとする者と それを阻もうとする者の駆け引き。集まった人たちの思惑や理由、そして稽古を通して生まれる生き甲斐や連帯感などは、演劇界にいる人たちだけではなく、悶々と暮らす人々への人生讃歌(参加)を謳っているようだ。それがお仕着せではなく、コメディとして面白可笑しく観せるところが上手い。勇気付けられるような好公演だ!
    (上演時間2時間30分 途中休憩なし)5.22追記

    ネタバレBOX

    舞台美術は場景によって違うが、全体的にシンプルな作りにすることで容易に場面転換させ、アップテンポを保つ工夫が巧い。冒頭は、イベント会社の事務スペースで、衝立にポスターが貼られただけ。
    梗概…説明にある通り、弱小イベント会社が、スーパー・ミュージカル・ビッグ・ステージと銘打った企画。そこに集まったのは市民劇団の素人ばかり。メインのスターは交通事故で降板。このままではチケットが売れず会社は倒産してしまう。出来れば興行はやりたくないが、今さら中止は言い出せない。集まった素人たちの芝居への思いは急上昇。トラブルを起こしてでも公演中止したいダークサイドと憧れの舞台への夢を見るドリーマーたちの戦い。the show must go on!もう、どちらもやめるわけにはいかない。スラップスティック・ショウ・コメディの幕は上がったが…。

    公演の魅力は、登場人物の愛すべきキャラクターと、演劇にかける情熱が作り上げた劇中劇「ロミオとハムレットと忠臣蔵」という西洋のシェイクスピア劇と日本の時代劇を無理やりくっ付けた芝居であろう。そこに潜ませた「思い」が後々明らかになる。
    登場人物の性格や抱えた事情や現状をさり気無く説明するが、きっちりとした人物像は立ち上げない。例えば、当初パワハラの自称演出家は、単に演劇が好きなオタクであり、女性舞台監督と結婚しているが生活能力なし。高齢者の元旅劇団員は、退職後の余暇活動のよう。夫婦で参加しているが、最近 家庭内がしっくりいかない。夫は稽古中も仕事の電話で忙しく、妻は芝居に生き甲斐を見出している。フリーター=雇用問題、高齢者問題、夫婦問題を面白可笑しく設定することで、観客にどこか共感できる部分を見せるため、キャラクターをしっかり作り上げない。幅広い年齢層に向けたメッセージのようだ。

    劇中劇は、ダークサイドの妨害や素人集団ゆえの知識・技量不足といった足枷をつけ、それでも公演をやり遂げようとする姿が、原作の「ロミオとジュリエット」「ハムレット」「忠臣蔵」の核(成し遂げようと尽くす)に繋がる上手さ。前半に稽古の過程を描くことで、上演中の面白さが浮き彫りになってくる。劇中劇のラストは仇討ち本懐を遂げたシーンだが、劇中 ダークサイドによって脚立から落ちてケガをした人を介助して引きあげるのは忠臣蔵場面そのもの。素人集団が苦難を乗り越えて公演をやり遂げようとする、その過程こそが、「ロミオとハムレットと忠臣蔵」に込められた思いであろう。悪事がバレた時の強い台詞「舞台を壊したんじゃない、皆の心を壊したんだ」は、生き様への敬意のよう。

    また「イベント会社(人)の妨害」を「コロナ禍の困難」に置き換えれば、まさに今状況を乗り越えては、本公演そのものに重なる。カーテンコールで、作・演出の小倉昌之さんが、来年も上演出来るようにしたいとの挨拶があり「劇団娯楽天国」の心意気を示す。だからこそ「演劇愛」を強く感じたし、観客にその思いが伝わったと思う。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2022/05/21 10:54

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  • 菊之丞 さま

    済みません。まだコメントは途中です。
    現在、某演劇コンクールの審査員を依頼されており、インタビュー記事と審査員講評を書いております。
    本日中に全て書き込みます。本当に申し訳ございません。

    2022/05/22 10:41

    うわータッキー様、こちらの意図を全て見取ってらっしゃる^ ^ 真剣に観てくださっているのですねー。嬉しい限りです。ありがとうございます。

    2022/05/22 10:16

    いつもありがとうございます。追記お待ちしておりまーす♪^ ^

    2022/05/21 23:51

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