マリー・ド・ブランヴィリエ侯爵夫人 公演情報 DULL-COLORED POP「マリー・ド・ブランヴィリエ侯爵夫人」の観てきた!クチコミとコメント

  • 言葉の美しさに魅了されました
    物語のしたたかさに加えて
    台詞たちの美しさに魅了されました。

    その言葉に引きずられることなく
    きちんと武器にして物語を重ねていく
    役者たちの力にも瞠目しました。

    ネタバレBOX

    「覆われているもので現されないものはなく、
    隠されているもので知られずに済むものはない」という聖書の言葉に
    「隠されているものは、手から離さない限り絶対に見えない」というマリー。

    その見えない部分で貧民窟の人々を毒を試すための道具と扱い
    自らの肉親を葬りさっていく。
    神の言葉に抗うマリーの傲慢は
    高貴な嘘にくるまれているのに、
    その一方で昨今新聞を賑わせた
    身近にあるモラルハザードたちと
    同じ色にも思えたりして。

    敬虔なシスターと貧民窟から取り立てられた少女が交換する
    パンと葡萄酒が
    マリーの行いから芽生えた疑心に行き場を失う結末も
    実にしたたかだと思います。
    キリストの血と肉の象徴ともされるそれらが床に落ちる姿に、
    マリーが欺いた神がバベルの塔のごとく人を罰する姿までが浮かんで、
    そこに、戯曲が内包する
    人の行いの因果についての普遍性を感じたり・・・。

    2時間30分、役者たちの力に圧倒されつつ、こ
    の戯曲の秀逸さと作者の才の深さに
    ただただ瞠目したことでした。

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    2009/08/19 04:06

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