映像鑑賞
満足度★★★★
映像での鑑賞あるあるだが、集中して見入るのに難渋。何度かトライして(性能の良いイヤホン使ったりして)視聴期間中にどうにか全編鑑賞できた(途中寝落ちして巻き戻したりもあり)。
競泳水着は初、と思っていたら6年前、二作品リーディング公演を二つとも観たという事があった。(サイトに最後だけ伏せた台本がアップされており、読んでいて話の内容を思い出したのだが、劇場で観たという記憶は抜けており、なぜか新宿の店の窓際かどこかで音声で聴いたような記憶に変っていて、物理的にはあり得ず妙な事だ。)
..それはともかく、上記の短編二作に通じる作風だと思った。怪しく雲が垂れこめる人間関係、謎解き・伏線回収の妙が今作にも。
素朴に面白く観た。リアルな家族関係の掘り下げは無いが、ミステリー作品に漂う匂いが微かに香り、家族の離散と再会の風景がドライな中にも郷愁を帯びて悪くなかった。
人間ドラマならば、五人姉妹の末っ子ノアを巡って、その引き籠り人生を開花させるといった筋を考えそうな所、ノアにとって必要な存在(そこに居なくても)である姉のニーナの「意図」が、この顛末の謎解きとなる。その意味でミステリーのある意味での王道、そこに「人の心有り」的な収まり方である。しかし私的にはこの舞台の魅力はそうしたオチではなく(「心」はミステリーのパーツ以上ではなく)、ディテイルが書かれていない描写の隙間を想像させる何か、だろうか。小説でもミステリーには作品(作者)固有の雰囲気があるが、(先の二短編を含めて)この作者の作品は何がしか世界観が漂っており、要は好みなのかも知れぬ。(癖になる程でもないが..)
「黒い十人の女」をもじったタイトルと思われるが、出演陣が女性十人に男一人、狂言殺人、という所まではなぞっていて、お遊び。映画では男がドラマの中心だが、この芝居では助っ人の一人。
小劇場ではお馴染みのザンヨウコ、橘花梨、小角まや、橋爪未萠里、その他の女優もそれぞれ存在感を示して「競演」の趣。ミステリーらしい。