満足度★★★
シツジが1匹、シツジが2匹・・・
執事というものを実際に見たことのある日本人はかなり少数派だろう。映画や小説から、イギリスのお屋敷で働く男性の使用人というのをイメージするのがせいぜいではないだろうか。
私自身は、カズオ・イシグロの小説を原作にした映画「日の名残り」で、アンソニー・ホプキンズの演じた執事がいちばん印象に残っている。
映画を見て感じたのは、執事というのが単に屋敷の使用人の一人ではなく、何人かいる使用人を監督する、いわゆる召使い頭だということだった。
そう考えると、この芝居のタイトルが示すような、一つの屋敷に執事が5人もいるという状況はそもそもありえないのではないか。
序盤からそういう状況設定への疑問を感じたので、なかなか話の内容にすんなりと入っていけなかった。
ただ、話が進むにつれて、執事が5人いるということの疑問は解けていく。
しかし、執事とは何かということに前半で神経を使ったために、込み入ったストーリーを充分に消化できないまま終盤を迎えてしまった、というのが正直なところ。
終演後、作者の野木萌葱が言っていたように、脚本を読めばストーリーの疑問点はそれなりに解消するのかもしれない。しかし、いまいち脚本を買おうという衝動は起きなかった。