グレーな十人の娘 公演情報 劇団競泳水着「グレーな十人の娘」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度

    珍しくミステリ劇、フーダニットである。義理の叔母(ザンヨウコ)に育てられた五人の娘、娘には孫もいる。その叔母が結婚することになって、相手の娘が四人。合わせて十人の女性が登場する。事件が起きて、誰が犯人か?と言う謎解きが、ミステリ劇の基本構造なのだが、はっきりミステリ劇と言っているにもかかわらず、いったいどんな重大事件が起き、誰が被害者で、誰が探偵役なのか、登場人物の設定も犯罪自体もあやふやで、つかめない。それは、ミステリ劇の基本である劇の視点が始終コロコロと変わるからだ。今のは噓だった、と言う展開も何度も使われて観客を混乱させる。極めつけは仕込みの芝居だった、と言う設定で、名作「罠」でも使っているからいいと思ったのかもしれないが、「罠」では芝居の屈折点で非常に効果的に使っている。観客が引き回されるのがミステリ劇の面白さなのだが、謎が芝居を引っ張っていないので観客は面白くもなければ、ついてもいけない。
    ミステリ劇と言うのは作りが難しいもので、海外作品でも再演を重ねるミステリ劇はようやく十指に足るかどうかと言うところだろう。この作品と設定が似ていると言う点ではトマの「八人の女たち」があるが、あまりいい出来とは言えない。
    日本の作品で再演が期待されるほど成功した作品は皆無である。資質的には向いている三谷幸喜に、「不信」と言ういい作品もあるが、再演されていない。井上ひさしも失敗している(キネマの天地)。
    そういう難しいジャンルに挑戦するには、その勇気は評価するが、随分不用意だった。
    俳優の中にはiakuに客演している俳優もいるのに、この舞台では十パひとからげでいいところが見せられなかった。

    ネタバレBOX

    何度見ても面白いミステリ劇ベストテン:「罠」「夜の来訪者」「十二人の怒れる男」「スルース」「そして誰もいなくなった」「毒薬と老嬢」「ダイアルMをまわせ」「暗くなるまで待って」「死の罠」「死と乙女」

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    2022/04/26 23:57

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