リディキュラブ 公演情報 南京豆NAMENAME「リディキュラブ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    佐藤佐吉演劇祭2022 参加作品。 お薦め。
    未見の劇団「南京豆NAMENAME」…「ラフでポップだが血の通った演劇」「やりたいことはなんでもやる」という創作理念を掲げているらしいが、手堅く上手くまとめた印象。

    身近にありそうな「恋愛」、それも痛くて、儚くて、もどかしい、そんな不器用な愛にもがく内容である。本筋の変化を求める男、変化したくない女、考え方生き方に少しズレのあるカップル。脇筋の繊細で優しくいたわり合うアニメ・ファンタジー風カップル。そんな二組の恋愛は、普遍的であり現代をも反映しているような。
    どういう具合に生きていっていいのか、そんな迷い模索する様をコミカルに描いており、観て優しい心持ちになれる青春ドラマ。
    (上演時間1時間40分) 

    ネタバレBOX

    舞台は出入口側に設えているため、途中での入退場は不可。四畳に段差を設け二畳ずつ縦・横に向きを変えて置く。天井には傘電球。舞台と客席の間に、ごみ袋・雑誌・DVD・空き缶等が散らばっている。部屋の様子 暮らしぶり、住人の性格を表している。

    本筋の チヒロ(今井未定サン)とミヤタ(藤本康平サン)は付き合っているが、これからどうするのか未来像が描けていない。チヒロはバンド活動をするため上京してきたが、未だに売れず、一方 ミヤタは仕事が長続きせず、何とかなるさといったお気楽な性格。チヒロは生き甲斐であったバンド活動を止めようと…。姉・あや(北本あやサン)からは、医師を紹介され結婚して落ち着くように言われる。
    脇筋の ちーちゃん(赤猫座ちこサン)と みっきゅん(板場充樹サン)は、幼くマンガキャラのようなカップル。しかし、ちーちゃん は余命宣告され儚さが漂い、みっきゅんは、少しキケンな香りと素振り。
    この二組のカップル、事情は異なるが すれ違う優しさと わだかまる不安を抱え、それぞれの「愛」のかたちを求めて生きる様を軽妙に描く。何度失敗したとしても 人生を改めて生き直し、愛を育んでいく姿が等身大に描かれる。

    どこにでも居そうな人物、日常に潜む心の機微を丁寧に描く。都会の喧騒の中で、傷つくことを恐れ、いつかは何者かになれると信じているミヤタ、一方 チヒロは母の死を切っ掛けに地元に帰ろうとする。何となく満たされて、どこか物足りない毎日を過ごしていた2人が微妙にすれ違ってきて…。突拍子もない話ではなく、身近に寄り添うような物語というところが魅力。不安を抱えながら出口のない青春のもがき苦しむ様子をコミカルに描く。それは単に「時代」というだけではなく、いつの時代も同じではないか。特に今、コロナ禍で平穏な日常は奪われ、制約の多い日常の中で何を思うのか?閉塞する混迷の時代だからこそ、楽しみながら観たい作品だ。

    主宰・河村慎也氏が、当日パンフに「愛」について「いっちばん普遍的で漠然とした超厄介な宿敵を相手取り」と記しているが、青春期の痛くて、儚くて、もどかしい日常・愛情を上手く表現出来ていた、と思う。上階部を利用した結末は、敢えてある動物を登場させ、ちーちゃん と みっきゅん の先々を暗示させるようで物悲しいが…。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2022/04/18 00:27

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