実演鑑賞
休演していた #加藤梨里香 さんの初日を観た。数公演失った思いを昇華させるような勢いを感じた。
大きな円卓で行われる会議。目的は映像作品のための物語を創り上げるクリエイティブな会議。しかし、行われるのはメンバーの経験についての独白。かなりの長台詞もあり、キャストの苦労が窺える。
この会議がなんとも不愉快。デスコミュニケーション。プロジェクトの参加者がそれぞれに不満を抱いているが、それは最後まで解決されない。その不満も匂わすだけでほとんど話題にされず解決もされないから観客はモヤモヤするのみ。そこには明らかに邪魔者扱いする空気が充満し、客席をもその息苦しさが包む。いたたまれない。
結局、物語は子どもの頃に書いた至ってシンプルなものを紹介して幕を閉じる。現実の人生はたくさんの要素が絡まり合って複雑なモノなのかもしれないけれど、人が求めているものや共感できるものは、シンプルで共感共鳴できるものなのかもしれない。
キャストは素敵だし、スタッフワークも悪くない。でも、本は面白いと思えなかった。一体なぜ、コレを演目に選んだのか。今作の演出でもある劇場芸術監督の小川絵梨子さんがチョイスした理由を訊いてみたい。