実演鑑賞
満足度★★★★★
#あたまプリン
#スズキ拓朗 #清水ゆり
#中山祐一朗 #小林らら
#ジョディ #ジントク
#よし乃 #柏木俊彦
#黒須育海 #鈴木彩乃
#鈴木幸二 #鷹野梨恵子
#鳥越勇作(敬称略)
【初日】もちろん落語である。滑稽話である。なのにキューッと胸が締め付けられる。ここ数作、本当に演出の磨きがかかったスズキ拓朗さんは、ダンスに可笑しみを散りばめ笑いを生み出してきた。今作にももちろんあるのだけれど、落語を題材にした今作は寧ろ笑いを抑えてペーソスを滲ませた。
仕掛けはオープニングからある。劇団の顔と言えるスズキ拓朗さんと清水ゆりさんのコンビが登場し、そこらじゅうを消毒する。(エンディングもラストに二人で挨拶する姿にジーンとした)それは、死者の部屋を片付ける特殊清掃員。コレが今作の芯を貫く。
ダンスの部分では、植木屋と床屋のセッション、花屋の挿し花が楽しかった。
そして今作の胆は、ケチ兵衛の娘に思える……トイレの女神さまの小林ららさん。ジャンケンで負けて屋根の上のアレに沈む可愛らしさも、1列に並ぶ皆んなとアレに座ってジャンケンする明るさも、黒のパンツスーツで頬を濡らして見送る悲しさも……全てが美しく胸を打つ。
この清掃員と女神が、今作の輪郭を象っていた。
もう一つ、今作の功績として書いておきたいのは、観客を池の中に引きずり込んだ演出。サッカースタジアムを思わせるソレは文字通り演技エリアと客席のバリアフリーを実現した。
客席に居ながらにして、作品の中に……いや、池に飛び込んだようなあのワクワクする感覚を、たくさんの人に体験して欲しい。
あっという間なのに濃密な70分。ご堪能あれ。