そのあとの教員室 公演情報 enji「そのあとの教員室」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    現代座会館なんて渋い会場でやる劇団って・・と興味を持った前回公演では観劇果たせず、ただ実績ある俳優、割としっかりした脚本、という心象を持った程度だったが、この度吉祥寺シアターにて初観劇。敗戦の傷も生々しい占領下のある小学校の教員室で、GHQからの調査員(女性日系米国人)の訪問を受けた日の数時間が描かれる。
    公職を追われ、荷づくりをする教員と、新体制下での教員として残る要領よく立ち回っていそうな教員、その狭間で苦しむ教員、という具合に「戦争責任」のテーマが冒頭の会話から横溢する。だが教員のキャラが上手く描き分けられ展開の運びもうまい。外部の者として女性調査員の他に、損壊した校舎を普請のため学校に縁のある大工が出入りし、スパイスを効かせている。ほぼワンテーマにしては面白く見せつつ本質に触れる濃い脚本である。

    ネタバレBOX

    女性はGHQの調査委嘱をされただけでなく、幼い頃生き分かれてこの学校で育ち、教員になった弟の敗戦直後の自死について原因を探ってもいる。後半、そのきっかけと思われる「投書」に書かれた弟の勤務先の小学校での空襲時の目撃情報の真相究明へと展開する。書かれた「疑惑」の反証が出され、事の真相の凡そが皆の腑に落ちる、という所でこの話はぷっつりと終結してしまう。だが腑に落ちない前で留め置かれてしまうのが投書を出した本人であった大工の「本当」と「誤解」の腑分けと、それに伴う罪の所在。これがスルーされて話が進んでしまう。「謎の解明」(ミステリー要素)が芝居の中心ではなく、全体のバランスを考えた結果だとは思うものの、女性が大工の動機と行動の全容を含めた「事実」をどう受け取ったかというディテイルは重要で、どうあってもドラマは成立するがどれかを選ぶ必要はあったのではないかと思う。

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    2022/04/15 08:35

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  • ご来場頂きありがとうございました

    2022/04/15 16:49

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