そのあとの教員室 公演情報 enji「そのあとの教員室」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    千穐楽観劇。観応え十分、お薦め。
    1946年9月、戦後1年経った国民学校 教員室が舞台。戦前の教育を信じて疑わなかった教師達、しかし終戦とともに大きく変わった、と言うよりは今までの教育を全否定されて戸惑う教師を通して「教育」とは、を考える。
    また教育者である前に人間であり、その矜持と責任を問う、一方 教員という地位(職業=生活の糧)維持のために必死の言い訳をする。天秤が揺れるが如く右往左往する滑稽な姿に「教育」の危うさが表れる。

    延長線上には「平和」「民主主義」といった、現在当たり前のように享受している国民主権(「御真影」「奉安殿」といった台詞に対し)、その大切さが明らかになってくる。公演の内容は硬質だが、時に笑いを誘い観客を飽きさせない上手さ。見事!
    (上演時間1時間50分)

    ネタバレBOX

    舞台セットは、教員室内…教員机や書棚が並び、所々に雨漏れ用の桶、盥や飯盒が置かれている。受ける物によって音響が異なる細かさ。雨漏りによって校舎の戦災状況がそれとなく分かる。

    GHQは戦前・戦中時に軍国主義的な教育を行った教師を教職から追放する政策を掲げる。日本政府はこれを受けて、教育適格審査委員会等による審査によって教職員不適格者を排除することにした。そんな背景の中、GHQから1人の女性トヨコ・ヤマモト・ペリー(家納ジュンコサン)が、この学校に現れる。この学校で教えを受けた男が自殺した。ペリーは、その原因が「教育」にあったと糾弾する。そして教師一人ひとりの行状を明らかにしていく。どうして自殺しなければいけなかったのか、その謎解きが審査委員会の審査と重なり教師達の保身が始まる。
    自殺に追いやったと思われるのは、以外な人物で驚かされる。

    戦前、最も重要に扱われた「御真影」「奉安殿」、そして身についてしまった軍国的動作、笑うに笑えない当時の状況。しかし 生きていくため教職追放を免れる方便の数々。教員の揺れる思いを織り込み、「教育現場」の難しさを色濃く描く。運動会で使用する音楽(軍歌不可)、国旗掲揚の否定、戦争同盟国の音楽(ベートーベン等)のレコード廃棄等、時々の教育方針に翻弄される。今も言える真の教育とは?を考えさせる。平仮名しか書けない大工・亀山正(永井博章サン)が、英語を話し通訳的な存在になる。まさに生きた「教育」とは何ぞやといった皮肉も描く。

    日本の教師責任…例えば、戦前であれば当たり前の体罰(ビンタ)を行った教師・西条和子(紗織サン)は、悩み退職を考える。しかし生徒の調査票では、これからも「(西条)先生から教えてもらいたい」という結果。一方、教師・浦島繁太郎(千代延 憲治サン)はペリーに戦争に絡めて、罪なき人々を死に追いやり、故郷を焼け野原にする、そんな教育をしたアメリカを非難する。重い遣り取り、その濃密な会話が物語の核心を突いていく。

    役者(登場人物は8人)は、それぞれの性格や立場を鮮明にしており、バランスも良い。ほぼ出ずっぱりで、その場(教員室)から逃れられないといった雰囲気を漂わす。本公演は、久し振りに吉祥寺シアターでの上演。物語に出てくる国民学校名が何となくこの地を連想させるような…。
    次回公演も楽しみにしております。

    1

    2022/04/12 16:27

    1

    0

  • ご来場頂きありがとうございました!

    2022/04/15 16:53

このページのQRコードです。

拡大