実演鑑賞
満足度★★★★
表層的には面白いが、主体がRENTAL VIDEOという”媒体”というところが難。これがVIDEOの作品そのものを捉えていれば、違った描き方になるだろう。
物語は、流行らないレンタルビデオ店に足繫く通うカップル、借りたVIDEOを楽しく鑑賞する光景。一方、閉店後に借りられなかったVIDEOの諦念、憤懣が漏れる。個性豊かに擬人化したビデオは作品イメージ、例えばミュージカル、極道、怪獣映画の衣装や雰囲気を醸し出す。そして呟く…RENTAL VIDEOは借りて観てもらえなければ意味がない、そこに存在意義があるという。VIDEO達がとった行動や行為が人間臭く変転していくが…。
終盤になると、”媒体”そのものが(価値ある)主体のような描き方に変わるが、本来は映画(作品)自体がメインになるのではないかと。物語として上手く流れていたのだろうか。ここで少し混乱(自分の思考力が硬化したか?)。
映画の歴史は100年以上で、いまだに多くはフィルム作品。しかしフィルム映画は、一般家庭での設備や取扱で鑑賞することが難しい。フィルムは、国立アーカイブ等で適切に管理し映画(作品)の保存に努めている。一方、デジタル化が進み、VIDEO媒体で家庭での映画鑑賞が容易になった。作品の選好によってレンタルされる頻度が異なるのは当たり前。終盤は、RENTAL VIDEO店の衰退を通じて 人間が製作した媒体(物質)の要・不要、もっと言えば文明批判に話が変容していく、と観せかけて…。
(上演時間2時間 途中休憩なし)