風がつなげた物語 公演情報 グッドディスタンス「風がつなげた物語」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    セリフがセンスあるし、伏線もしっかりしているし、節々で伏線から新しい展開が生まれ、ラストまでよくできた芝居だった。「月と座る」を拝見。

    バス停で本(実は漫画「モーレツ!ア太郎)をよむ女性・瀬戸(旺なつき)に、ひったくりにスマホも財布も取られた千波(野々村のん)が話しかける。「突然、話しかけられて迷惑ですよねー」という感じで。通りがかる女性4人が、なんとなく知り合い、しゃれたセリフから、それぞれの重い人生が見えてくる。

    千波が高さ16,17センチはあろう、派手な赤い厚底ハイヒールに文句言うシーンは笑えた。
    三十路の地下アイドルの大原瑠花(後東ようこ)の、若さの陰りかけを払い飛ばそうとする精一杯のいきがりぶりがいい。大原のいきつけ(押しかけアイドル?)のスナックのママ田代(鬼頭典子)のうらぶれた色気もいい。最初は一瞬、母娘なのかと思うが、大原は母に捨てられ、田代は、未婚で産んで実家に預けっぱなしの娘に拒まれた。互いに親・娘を思う気持ちで共通するのに、弱みを見せまいと素直になれないで否定しあう姿も切ない。

    もちろんバス停は、ホームレスの高齢女性が引きこもり男性に殺された場所。ささげられたガーベラの花が、女たちの間をぐるりと回ってまたバス停に備えられるくだりも絶妙。瀬戸は、女性が死んだ後で「友達になった」という。知らなかったことが申し訳ないと。

    座席数100人程度の小劇場がこの繊細な会話劇にピッタリ。口コミサイトの評判もあって、満席。本多グループ経営とはしらなかった。

    ネタバレBOX

    冒頭、病院の予約に遅れそうで、と言っていた千波は、がんの健診結果が出たのだとわかる。瀬戸は、大原の同級生の母親で、それは、シフォンケーキのにおいから思い出す。瀬戸の息子は今は引きこもり。瀬戸にとっては、殺された女性だけでなく、殺した男も、他人ごとではなかった。

    最後に、その息子も出てくるのは意外だった。引きこもりが出てくるのは矛盾なのだが、出したのがよかったかどうか。が、息子の言葉で、大原の言う昔の誕生会の美しい思い出が美化されたものだったとわかる。実は嫌われ者同士二人が集まってケーキをがっついただけの悲惨な会だったと。

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    2022/04/07 09:40

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