実演鑑賞
満足度★★★★★
#北原州真 #冨岡英香
#信國ひろみ #森将人
#中嶋千歩 #遠さなえ
#谷川清夏 #岡本セキユ
#宮野風紗音(敬称略)
観劇してる場合ではない状況で、実は諦めかけていた。やめようかと思った。駅まで歩きながらキャンセルの連絡をしようかと本気で考え足を止めた程だった。それでも新幹線に乗って観に行ったのは、前回観た波多野伶奈さんが主演した『意味なしサチコ、三度目の朝』が面白かったから。
こうやって悩んで、新幹線にまで乗って観たのに残念だったりすると本当に頭にくるのだけれど、観に来て良かったと思える作品で、引き返さなかった自分を褒めている。
誤解を恐れずに書くと、作品に漂う空気は学園祭というより文化祭の出し物。それがダメなのではなく、それを作り貫いている感じが素晴らしい。言うなれば、カッコつけようとしているのに安っぽいのではなく、安っぽさをキッチリ作り上げているプロフェッショナリズム。
もう一つ誤解を恐れずに書けば、キャストは美女でもイケメンでもない……と最初は思えるのだけれど、最後にはみんな可愛くてカッコ良く見えている。ウットリして眺めている自分に気づく。コレって究極に凄いことで、作演出の藤田恭輔さんの手腕に他ならない。俳優の皆さんの演技も、チープ感を抱かせておきながら、実はとっても丁寧で力強くて澱みなく流れてクリア。
わたしは年齢を訊かれると19歳と答える。それは大人の手前で、足らないことが許される気がするから。この作品も、いや、かるがも団地という劇団も19歳感が凄い。それは大人になりたいのに足らないのではなく、未熟に徹する感じ……未熟を完璧に作り上げているのを感じる。それはもしかするとワカチコだ。最高のワカチコに違いない。
これからも、誰を客演に招いても面白いと確信する。次も観たいと思う若い劇団がまた一つ増えた。
1999会の谷川清夏さんのマドンナ感が堪らなく好きだ。そして、声が艶やかで素晴らしい。
ウメコの解説のようなモノローグが嫌味なく聴いていられるのは、演出の力ももちろんだが、冨岡英香さんのパーソナリティによるところも大きい。自然体な佇まいが大好きだ。
劇団員の宮野風紗音さんは、まるで百戦錬磨のお笑い芸人並の面白さ。
つまりは、大いに笑いながらキュンとするから、みんな観たらイイ。