片生ひ百年 公演情報 ハコボレ「片生ひ百年」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    落語と芝居…第漆回ハコボレ落語研究会公演。お薦め。
    今まで王子の劇場(現在は佐藤佐吉演劇祭開催中で劇場確保が難しい?)で聴き観ていたが、今回の小屋は新宿眼科画廊(スペース地下)である。落語噺は「紺屋高尾」で、舞台は江戸時代の不夜城であった“吉原”、それを現代の不夜城”新宿”で上演する。

    藍 染職人が 会い たい思いを貫き 愛 を実らせたという噺。サゲは「<秘密>観て確認してほしい」であったが、芝居へは早染めの「かめのぞき」(バレ噺<下ネタ>)ではなく、その穴を覗き込んで観た あの世とこの世を繋ぐ「香」から始まる物語へ。調香職人・リンネの語りを抒情的に描く。公演は「香」を強調、もちろん嗅覚への刺激、同時に「時間」や「色香」といった物語の重要な要素を連想させる上手さ。勿論、落語噺と劇演技は見事!
    卑小だが、落語噺は情感たっぷりに聴こえたが、芝居は少し急いだのか台詞が聞き難かったのが少し残念。
    (上演時間60分)

    ネタバレBOX

    舞台セットは、高座、その前(客席との間)に三途の川又は殺生後の白残骨のようなもの。また所々にロウソク、名物裂(敷物)のようなものが舞台と客席最前列に敷かれており、 あの世と この世を表しているようだ。これによって三途の川のような隔たりが活きてくる。簡素だが世界観を表すため、よく考えられている。

    落語は まくら<ここで羽織を脱いで>、本編(噺)、オチという基本のスタイルで演目「紺屋高尾」の恋愛成就を聴かせる。芝居は一転、悲恋もの。高尾太夫は吉原での源氏名。落語はその5代目、芝居は2代目の「反魂香」へと関連付ける。また両想い、片想い(片生ひ)という対になる構成でもあり巧い。

    2代目高尾太夫は伊達藩主によって、嫉妬の挙句斬殺されたという内容。高尾と恋仲だった男…落語「死神」を連想させる命の灯、そこに吉原遊郭の遊興「香」=「時」を関連付け、あの世とこの世の間<ハザマ>で彷徨する。芝居は、男と死神らしきものを一人で演じるが、袖口を引っ張る仕草などで<男以外>の造形を立ち上げる。その演技は臨場感があって上手い。
    舞台美術、落語噺、芝居内容を緊密に繋ぎ表現した公演、実に見事であった。

    敢えて言えば、芝居の台詞が急ぎ足になり聞き取り難かった(自分の耳が悪くなった?)。上演時間1時間に拘っているのか?今まで観た公演は、「はこづめ〈東京〉」以外は、全て1時間前後だった。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2022/03/27 15:38

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  • 前田隆成さま

    丁寧なコメントありがとうございます。
    楽しませていただきました。

    ずいぶん昔になりますが、仕事の関係もあり週1~2回寄席に通っていたことがあります。専門家にも話を聞いたことがあり、「落語」は好きです。その落語と芝居、こんな魅力的な公演をしていただき、嬉しく思っています。
    また、どこかのハコでの上演を楽しみにしております。

    2022/04/01 12:10

    タッキー様へ
    この度は厚くコメント頂きまして誠にありがとうございます。
    お薦めもしてハコボレを押してくださりまして重ねてお礼を申し上げます。

    落語「紺屋高尾」に関しても深い知識を持っていただき、まさか「かめのぞき」まで存じて頂けてるとは、驚きでございます。芝居に関してもまだまだ未熟で、聞き取り辛かった部分は、次に生かして修行を重ねようと思います!

    タッキーさんの落語への愛、芝居への想いが強く伝わるコメントに救われております。
    今後もどうぞハコボレを前田隆成を贔屓に居た頂けますと、一層芸に励みが付きます!
    この度はご来場そして、ご厚いご感想いただきまして本当にありがとうございました。
    また、次回も別のハコにて、お楽しみにお待ちいただけますと幸いでございます。
    季節の変わり目ですので、どうぞお身体ご自愛くださいませ。

    ハコボレ 前田隆成

    2022/03/31 23:32

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