ベンガルの虎 公演情報 新宿梁山泊「ベンガルの虎」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    唐十郎の70年代の名作
    比較的シンプルでストレートだった70年代唐作品を現代に再現させようとした試み。健闘していたと思う。以下ネタバレで。

    ネタバレBOX

    そもそも根源的なところから考えてみると、70年代唐作品を(新しい解釈ではなく)再現させることは、70年代唐作品を越えられないということで、それでは上演する価値はないのかといわれれば、それでも価値はある、と思う。という前提で。

    唐十郎演出の唐作品は、頭の中から湧き出でるイメージをこれでもかと形にしていくといった様相で、勢いがある反面、荒さがある。それに対して他者の演出する唐作品は、別の脳みそで作ったものを形にしていくわけで、戯曲検討やその他一定の理論や計算を経る必要があるせいか、一種の落ち着きというか、緻密さの感じられるものが多い。名台詞をアドリブで頭に浮かんだ端から語る場合と、いったん文字にして台詞を考えた人以外の役者が語る場合の違い、というのだろうか。

    多分初演の状況劇場の舞台は、見てはいないが、出演者のアクといい、勢いといい、すさまじいものたっだと思う。それに比べると今回は「再現」を目指した分、アクも勢いもおとなしめだったのではないだろうか。だからこそ見やすい、という面もある。

    とにかく、いい戯曲だと思う。「白骨」のモチーフがバッタンバンと入谷、(多分1972年に休止となった後楽園)競輪場を縦系列に駆けめぐり、そこに東南アジアに身売りされた「からゆきさん」、ビルマの竪琴に見られる帰国兵、高度経済成長を作り上げたジャパニーズ商社マン、錦糸町のキャバレーのホステスが横系列に絡む。台詞のひとことひとことが、唐独特のリリカルさと偽善ならぬ偽悪(もしくは偽エログロ)のマスクをかぶったピュアさにあふれている。それを素直に、アクなく、形にしたという印象。

    中山ラビの圧倒的な歌唱力、十貫寺梅軒の円熟味(唐っぽい)、裴美香の舌足らずな台詞とぶっちぎれぶり、渡会久美子の凜とした立ち姿が印象的。

    5

    2009/07/09 00:42

    0

    0

  • ちどりさん

    おっしゃるように、たぶん「アクのあるもの」が好きです。「山海塾」はすっきりしてますが(昔の金柑少年などは別ですが)、「大駱駝艦」はもうアクだらけというか(笑)、猥雑感がたまりません。

    極楽歌劇団の蝶子蝶子さんは、確かに華がありました。演出も元OSKの方ならば、OSKの方に宝塚のパロディをさせたのは、別によかったのでしょうか。宝塚とOSKの関係がよくわからなかったもので。
    私は、この芝居は本来あった劇場で、観光客気分で見るのが正しい作法ではないかと思っ次第です。

    ブログも拝見いたしました。・・・濃すぎっ(笑)。全部はすぐに読み切れないので徐々に読ませていただきます。
    今回の「ベンガルの虎」のブログのほうの分析も大変面白かったです。

    しかし、
    >タカラヅカに興味を持ったのが唐十郎の「少女仮面」という作品から

    とは!!

    そういう方ってほかにいらっしゃるのでしょうか? タカラヅカから唐十郎っていう、逆のケースもないように思えます(笑)。

    2009/07/13 03:27

    アキラさん。コメントいただいたのがうれしくて、ほかの舞台の観劇評もアップしちゃいました。タカラヅカですけど・・・。なにしろ最近レビュー以外の舞台をあんまり見ていないので、自信なかったんですよねえ。その割には言い切った文体ですけどね(笑)。

    実はコメント書く前にアキラさんの観劇評をいくつか見せていただいたのですが、見事に今の劇団はわからないです。でも「山海塾」とか「大駱駝館」とかも御覧になっていて、結構評価も高いので、「アクのあるもの」がお好きなのではないかとも、ちらっと感じておりました。

    極楽歌劇団も御覧になってたんですね。あれはOSKで活躍していた演出家の北林佐和子の劇団ですし、蝶子をはじめOGが出演しています。私の観劇感想はこちらです。
    http://blog.livedoor.jp/chidori527/archives/51204887.html

    それから、自分のページにも登録しておりますが、ブログをやっておりまして、主にOSKの観劇感想&情報(最近は歴史部分に比重がかかっている)を扱っているのですが、何しろ出自がアングラファンなので、ほんの少し昔の観劇の思い出や、今の感想なども書いております。テント芝居鑑賞の流儀についてもアングラファンの立場から語ったりしておりますので(笑)、よろしければご一読下さい。
    本体↓
    http://blog.livedoor.jp/chidori527/

    カテゴリの「80年代アングラ&小劇場演劇」↓
    http://blog.livedoor.jp/chidori527/archives/cat_371777.html

    もともとタカラヅカに興味を持ったのが唐十郎の「少女仮面」という作品からなんですよね。
    (今はタカラヅカよりOSKに軸足を置いております)

    こちらこそ、今後ともよろしくお願いします。
    足は遠のいておりますが、面白い舞台はジャンルを問わず大好きなので、またいろいろ教えてください。

    2009/07/11 20:44

    ちどりさん、丁寧な返信ありがとうございます。
    どうやら「テント芝居」を「なめていた」ようです(笑)。「一升瓶」のエピソードは、なんだかまるで芝居の中のようですね。それも戦後間もない頃を舞台とした(笑)。

    >水島が死ぬところで笑うなんて、それは「昔のファン」じゃないですよ。きっと酔っぱらいです。

    ああ、良かった。やっぱり笑うところではなかったんですね。

    >アキラさんの肌の合わなかった原因と、私の感じたこととの関連はわかりませんが、

    すみません。言葉足らずで・・・と言ってもうまく表現できないのですが、なんとなくわかったことは、ちどりさんがお書きになっていたように、唐さんの作品は「頭の中から湧き出でるイメージをこれでもかと形にしていく」ということで(今回は他者の演出だったのですが)、他者が演出していても、その勢いはたぶん残っているはずで、観客は、その勢いを感じながら観劇したほうがよかったのではないかと思った次第です。

    今回が「アクがなくて見やすい」のならば、是非「アク」のあるほうを観てみたいと思います。・・・テント芝居を観るかどうかは微妙ですが・・。アクがあるほうが好みかもしれませんので。

    ちなみに、「掲示板」の「フリートーク」のところに「2009年上半期ベスト10」というものがあります。そこに私も書いてますので、よかったらご覧ください。東京方面の舞台ばかりですが、結構アクがあるものが並んでいると思います。

    私は、OSKはまったく知らないのですが、これを機会にこれからよろしくお願いいたします。

    2009/07/11 03:32

    アキラさん、こんにちは。コメント本当にありがとうございます。実はOSK日本歌劇団以外の投稿は初めてで、かなり緊張して書いたので(笑)、お声かけていただいてすごくうれしいです。

    感想、拝読いたしました。それはそれは・・・ひどいことでしたね。心中お察しいたします。水島が死ぬところで笑うなんて、それは「昔のファン」じゃないですよ。きっと酔っぱらいです。

    ただ、テント芝居って、そういう人が入りこむリスクは常にあるんですよね。既成の劇場なら場内案内係が注意することができますが、テント芝居では無理ですし(通路なんかないですしね)、もともとがテントっていうのは昔の「見世物小屋」の空気を模したところがあるので、面白半分の客や酔っぱらいも入りやすいんですよね。実際、30年前は幕間に一升瓶が知らない人からまわってきて、回し飲みしながら見たこともあります。

    角川文庫「盲導犬」だったかな、「あとがき」に嵐山光三郎が見たときにチャチャを入れる酔っぱらいと注意する学生との客同士の小競り合いがあったというような思い出話が載っていたような。

    アキラさんの肌の合わなかった原因と、私の感じたこととの関連はわかりませんが、もし懲りていらっしゃらなかったら、一度本家本元の「唐組」のお芝居を御覧になってみれば、はっきりするのではないでしょうか。唐十郎は現役で劇団活動をやっています。春と秋に公演をやっているみたいですから。一般的には、「状況劇場」(80年代までの唐十郎の劇団)、「唐組」(現在の唐十郎の劇団)よりも今回の舞台の方がアクがなくて見やすい仕上がりだとは思います。

    2009/07/10 20:46

    はじめまして、アキラといいます。
    私もコレ観てきました。・・・が肌に合いませんでした。

    ちどりさんのお書きになった中で、

    >唐十郎演出の唐作品は、頭の中から湧き出でるイメージをこれでもかと形にしていくと
    >いった様相で、勢いがある反面、荒さがある。それに対して他者の演出する唐作品は、
    >別の脳みそで作ったものを形にしていくわけで

    というところは「なるほど」と思いました。ひょっとしたら私の肌に合わなかったのもそのあたりにもあったのかもしれないと(桟敷席でお尻が痛かっただけじゃなくて・笑)。
    なんとなく「作り込みすぎた違和感」みたいなものも感じてましたので、特にキャラクターなどで。
    ちどりさんのレビューを読んでそのあたりの原因がちょっとだけ見えたような気もしました。

    2009/07/10 05:16

このページのQRコードです。

拡大