実演鑑賞
満足度★★★★★
目頭の熱くなる場面がいくつもある、いい芝居だった。はじめのうち、セット転換が多い気がしたが、意外と流れが滞らない。主役南野隆治(山形敏之)の、幼少期の回想の声とオーバーラップさせることで、転換だけではない、意味のある時間になった。病室、面談室、医局、研修医室、合コン会場、公園等の場面をしっかり背景を変えて見せることで、正統派のリアリズムにたつ劇団の良さが出た。演者の芝居にぐっと感情移入できた。
新米研修医役の山形敏之がよかった。無力感にさいなまれたり、現場の矛盾に憤ったり、若い患者の死に打ちのめされたり、体当たりの演技でこちらも心動かされた。外科医長役の館野元彦は、セリフは少ないが、登場場面をきりっとしめる。何度見てもいい俳優である。予定100分のところ、見た回は95分だった。