赤き方舟 公演情報 風雷紡「赤き方舟」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    重信房子、遠山美枝子、永田洋子、森恒夫、坂東國男、坂口弘。今作は彼等を知っている人も全く知らない人にも意図が判り辛い作品。知らない人を切り捨てるか、知らない人に向けて丁寧に作るかどっちかに振り切るしかなかった。今年5月重信房子が出所するとの事でそれに合わせて作ったのだろうと勝手に思い込んでいた。連合赤軍は出尽くしているが、日本赤軍や東アジア反日武装戦線”狼“”大地の牙“”さそり“は物語にし辛い。重信房子の人生を通して日本の思想史を描くのではないかと。

    女性3人は黒いヒジャブで顔を隠しており、登場の時まで誰だか分からない。まずは重信房子(前澤里紅〈りく〉さん)、次に遠山美枝子(吉水雪乃さん)。こうなるとラストは永田洋子(増田さくらさん)しかいない。また、この話か・・・。
    重信房子と遠山美枝子が出逢い親友になる。海外拠点を作る為重信はパレスチナに、遠山は山岳ベースでの合同軍事訓練に参加。これが今生の別れとなった。

    吉水雪乃さんが偉く可愛かった。森恒夫役の山村鉄平氏の演説がド迫力。永田洋子(ひろこ)の役をやると何故か女優は生き生きする。女性のある種のピカレスク・ヒロインの元型なのかも。

    ネタバレBOX

    とにかく描き方が中途半端。若い子からすると、何が何やらだろう。こんな端折るなら、もっと焦点を絞った方がいい。

    事件の全容を知りたかったら、若松孝二の映画『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程〈みち〉』か山本直樹の漫画『レッド』がお薦め。冬の雪山で2ヶ月で12人の同志をリンチで殺した共産主義の理想に燃えるインテリ達のお話。この事件の衝撃で日本の新左翼運動への大衆のイメージが決定的に変わった。
    海外に拠点を移した重信房子達『日本赤軍』は、 イスラエルのテルアビブ空港乱射事件、ハイジャックや大使館占拠事件を繰り返した。

    遠山美枝子役は高橋かおりや坂井真紀など美人女優が演るのが通例となっているが、実際は仲間内から『おばさん』と呼ばれるような感じの人だったそうだ。
    山岳ベースで起こったことについては大塚英志の『「彼女たち」の連合赤軍 サブカルチャーと戦後民主主義』が評論としてずば抜けて面白い。永田洋子は獄死するのだが、『瀬戸内寂聴・永田洋子往復書簡―愛と命の淵に』なんて本もある。全くイメージと違ってちょっと天然の無邪気な人っぽい。

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    2022/03/21 06:24

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