アンドゥ家の一夜 公演情報 さいたまゴールド・シアター「アンドゥ家の一夜」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    圧倒されました
    この凄さの根源は
    ケラリーノ サンドロヴィッチ氏の筆力か、
    蜷川幸雄氏の演出力か、
    役者たちの演技力か・・・・。

    誰が、あるいはなにが観客をこの3時間を超える物語に閉じ込め、
    魅了したのか・・・???

    小雨そぼ降る与野本町駅までの帰り道
    ずっと考えてしまいました。

    いやぁ、おもしろかったです。

    ネタバレBOX

    場内に入ると
    公開稽古場のような雰囲気にまず圧倒されます。

    さまざまなシーンを繰り返し練習する
    老人たちの群れ
    そして、それをサポートしていく若いスタッフたち
    よく見ると蜷川幸雄氏もあちらこちらを回りながら
    一生懸命役者たちを指導している

    それは、とても「小」とは思えないスケールをもったさいたま芸術劇場小ホールの空間を十分に満たして余りある風景・・・・。蜷川氏の魔術にその時点で翻弄されていたのかもしれません。

    やがて、潮が引くように役者たちが下がって物語が始まります。

    役者たちの演技に多少優劣が観られるのは事実。でも、観客になにかを伝えようという変な力みやあざとさがないのがすごくよい。観客にきちんとそれぞれが演じるキャラクターが積み重なっていきます。物語が語られるのではなく空間が重なり合っていく感触がちゃんとある・・・。プロンプターが一応ついてはいるのですが、よしんば台詞が飛んだとしても、それが大したことではないと思わせるほどの空気の醸成が舞台上にあるのです。

    ケラ氏が紡いだ物語も、なんというかカードの切り方が絶妙で・・・。飛び道具的なエピソードも盛り込んではあるのですが、たとえばナイロン100℃の公演などのように、力技を織り込んだ勝負はしていない。すごくマイルドで理になかったシーンの積み重ね・・・。役者も観客もピンボールの離れ業でポイントが上がっていくのを楽しむような高揚ではなく、絶妙に設計されたコルフコースを一つずつ難易度を楽しみながら征服していくような充実感に満たされていきます。

    前半の表層的な部分の多い人物の表現が実直に演じられているから、次第に個々がもつコアの姿が浮き彫りになっていく後半の展開にも無理がなく、さまざまな伏線が着実に物語を広げていく。

    たまたま、私の席が馬蹄形の席の一番下手側、しかも前から2列目だったもので、舞台をサポートする蜷川氏も近くで拝見できたのですが、台詞を舞台に声掛けしたのは一度だけ。それも立ち往生をなんとかするという感じではなく、ここ一番の部分をがっちり支えるための応援のようなサポートでした。プロンプターというよりはむしろコンダクターといった感じ。

    舞台は主人公の人生を俯瞰するような終盤に至ります。そこで、役者たちの年齢がしっかりと武器になって生きてくる。そりゃ、ナイロンの役者たちが演じればもっと大きな笑いの中でクリアに物語を表現してくれるのでしょうけれど、でもこの役者の、あるいはこの座組でなければ絶対に伝わってこないであろう色が間違いなくあって・・・。それは唯一無二のなにかで・・・。

    3回のカーテンコールをした観客の拍手、決してご祝儀心ではなかったように思います。
    これだけの物語を生みだしたケラリーノ・サンドロヴィッチの評判も、それを舞台に描きだした蜷川幸雄の名声も、そしてこれだけの空間を満たしきった役者たちの年齢の重みも、それぞれに伊達じゃないことを強く感じたことでした。






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    2009/07/01 02:42

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