キミガミテタ明日 公演情報 TEAM 6g「キミガミテタ明日」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    観応え十分。お薦め。
    夢を追い求めることと現実の生活のギャップが背景。君が見てた明日とは…。
    その君の信じられない出来事に戸惑い、自分の感情に折り合いをつけられない人々の苛立ち。君の思いを探ることで、君の真の姿(思い)が見えてくるのだろうか。

    当たり前のように生きているが、その当たり前がそうでなくなる。当たり前が愛おしく大事に思える、そう考えた時、コロナ禍によって以前のような当たり前の生活の大切さを知ることになる。コロナ禍にあって「生の公演の素晴らしさ」を伝えようとする。人々に寄り添ったTEAM6gらしい丁寧な作り、泣き笑いで感情を揺さぶる見事な公演。
    (上演時間2時間20分 途中休憩なし)

    ネタバレBOX

    舞台美術は2階部(変型パイプ組あり)を設け、上手に葬儀社である矢野家の居間。和室であろうが畳ではなく、高さのある平台。その配色が黒と白。座卓や茶箪笥。夏場は扇風機。下手は一ノ瀬家のリビングルーム。段差のある配置で、こちらも配色は白黒である(一部ピンクモールや赤暖簾あり)。舞台画面を観ると和・洋や階段の取り付け方が左右非対称で、そこに人(家族)それぞれの個性を見るようだ。季節感も夏と冬、それに合わせて半袖の夏服、厚手服にクリスマスプレゼント。多くの衣装替え、例えば学生時代のセーラー服や社会人(弁護士)のスーツなど年月の経過。

    梗概…中学校から親しくしている一ノ瀬昌太、矢野雅清、岸健太郎の3人。3人はお笑いグループ:レインボーフラッシュを組みお笑いライヴに出演。しかし月日が経ち雅清が家業の葬儀屋、健太郎は結婚し堅実な生活へ、それぞれの道を歩み出す。1人残った昌太は、自分の夢を追い続ける。一方、家庭は妻の友加里がパートで生計を支えている。1人娘の ひまり も不憫。
    突然、昌太が亡くなった。警察は自死としたが信じられない。葬儀を執り行うまでの7日間、本人の思いを知ろうとする物語。娘-ひまり を可愛がり、生命保険にも加入していたが、ある事情から保険が給付されないという。何とか自死でないことを証明しようと奔走するが…。予定調和になるか否かは是非劇場で!

    理屈抜きに物語に自分を委ね泣き笑いたい。そう思うのは、連続公演の第二弾である本公演は昨年からの延期、そして第一弾「星灯り<2022年改訂版>」(グリーンフェスタ2022参加公演)も直前に延期。コロナ禍で公演中止(他団体でも同様かもしれない)が重なっている。当日パンフで、主宰・阿南敦子さんが「初めて心が折れそうになった時期がありました」と記しているが、本当によく上演してくれた。そんな思いが舞台から伝わり、自分のちっぽけな理屈など卑小。初日のカーテンコールで、阿南さんは今にも泣きそうなお顔。

    人は死ぬまで、必死に生きたいと思っている。その思いを友人等が追想し、現実の保険給付の有無へ興味を惹きつける。足跡を順々に辿る場面転換が早く、そのたびに小道具等の搬入搬出と忙しい。しかし、暗転時に場面の繋ぎに応じた不穏、和らぎの音楽を流す。照明は浜辺か堤防を思わせ 揺れる波の輝きや向日葵畑の映像。もちろん台詞に合わせた「月の道」などを想像させる照射は美しい。その云われ等の説明や解説は野暮。全体的に丁寧な演出である。
    役者の演技力は確かで、葬儀(泣き)のシーンは圧巻だ。同時に鯨幕のような画面は荘厳な印象を残す。公演そのものの大きさと深みを思わせる。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2022/03/02 19:07

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