鳥の飛ぶ高さ 公演情報 青年団国際演劇交流プロジェクト「鳥の飛ぶ高さ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 滑らかに表現される会社の内幕劇、だけど・・・
    よく出来た話だとは思います。

    ビジネスの一面を、確かな感性と裏付けを持って捉えた作品だし
    役者達の表現もすっきりと的確だったと思います。

    海外の役者についても、台詞回しの可否はわからないにしても、演じるものはしっかりと伝わってきた・・・。翻訳の提示も凄く見やすかったし・・・。
    でも・・・・、やはり何かが足りない気がするのです。

    ネタバレBOX

    シンプルな舞台装置が会社のピラミッドの役目を果たし、社長・経営陣・社員と分けられていく前半部分・・・、その広さにあわせた社員の動きなどがすごくスムーズで、観ていて物語がどんどんと客席に広がっていく感じ。

    会社が凋落していく姿も、また、カリスマ経営者によって再生していく姿にも、真理が含まれていて、そこからの力強さも確実に伝わっていたと思います。

    日本書紀と会社の関係も良く出来ていて、観ていて飽きることはありませんでした。ミュージカル仕立てにした部分もとてもしっかりと機能していて・・・。

    作者の分身であるという狂言廻し役の社員の存在も旨いと思った。


    でも、観終わって、満足したかというと、かなり微妙。
    なんというか、深いところにまで舞台の感動が染みとおっていかないのです。

    元々この戯曲は7時間くらいの長さが合って、そこから上演時間に合わせて4つのバージョンができたとのこと。今回の上演はそのなかの一番短いバージョンだったそうで、原本を削ぎ落としていく際に舌足らずになった部分があったのかもしれません。

    一番気になったのは、企業が活性化する仕組についてダイナミックに描かれていたのに、人についての描き方が足りないこと・・・。

    親子(社長も営業担当者も含めて)の距離や兄弟間の確執、社内の人間関係・・・、それが事象にとしては非常にしたたかにに描かれてはいるのですが、それらのバックボーンにある人間の想いが、なにか書割のように感じられるのです。

    不思議なことに役者の芝居がしっかりとしていればいるほど、そのキャラクターから伝わってくるものの希薄さが浮き立ってきて・・・。また、希薄であるが故に、ダイナミックに動く会社の根本が人であるという終盤のスピーチに説得力がやや欠けるように感じたり・・・。

    決して悪い芝居ではないと思うのですが、昨今の秀逸なお芝居たちに比べると、大味な部分を感じてしまうのです。

    0

    2009/06/23 13:17

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大