実演鑑賞
満足度★★★★
今生きている二十歳から三十歳にかけての男女の性をめぐる風俗劇だ。時に家族をめぐっては笑いに落とし込めない場面も出てくるが、男女の性関係について現在のジェンダー論議を含めてコメディにしている。始まりは、いったい一夫一妻制で家族ができているのは人間の本能に反するのではないか、とか、男女の愛の手続きが性と家族にとって必然のものか、とか、今までは肉体で語ってきたテーマを、会話で進めていく。そのあたりは今の男女のありようを巧みに描いていて、そこはいまの劇作品だなと思う。
男女の勝手な言い分とその解決法(男女二組が同棲する)で紛糾するあたりが面白いので笑っていたら、周囲の若い男女はほとんど笑っていない。真剣なわが身の問題として見ているのだが、それはずいぶんナイーブではないか。舞台で行われている男女の性関係はそんなところは超えてしまっているのだから。会話で、きわどいことは言葉にしないで猥談してしまうところがコメディとしては新鮮だった
二十周年と言うが、初めて見る劇団だ。
感想を言えば、まともにやっては、と言う配慮(当たっている)からか、会話にちょっとオーバーな日常的な動きをつけていて、岡田利規ばりだが、うるさいばかりでわざとらしい。これがないと会話が持たないのではないかとすら思ってしまう。最後に出てくるダンスも、終わりようがないのでやってみました、と言う感じで蛇足だろう。俳優も、皆似ていてとびぬけて引っ張っていくパンチがある人がいない。その辺が課題だろう。
しかし、役の年齢を絞り同年代の役者だけで性をテーマにセリフ劇にするというのはポツドールの三浦大輔とは違った狙いでまだ先はあると思う。小さい劇場ながら十日も打て、千秋楽という事もあってか、見た回も満席だった。