実演鑑賞
満足度★★★
別役劇は知的でドライな抽象的遊戯的詩的なものだと改めて発見した。今作はそもそもがナンセンスな「不思議の国のアリス」なのだから、多少の不思議は気にならない。サーカスの団長の父(イワヲ、ロイドメガネが似合う)と娘アリス(紅日毬子)をめぐる因果の糸が最後はほどかれて、意外とわかりやすいとさえいえる。砂漠(=流刑地)での死刑執行はカフカを思わせた。休憩なし2時間10分
「雨が空から降れば」が別役の詩とは知らなかった。この舞台で聞けたのは意外な儲けものだった。
ダンサーであるスズキ拓朗の演出は、まず期待通りだった。とくに、兄(小林七緒)の空中ブランコのシークエンスは、小林の体が次々宙に浮かび見事だった。また、音楽とともに、「後ろの正面だあれ」よろしく、人々が横へスライドしていく場面も印象的。最後はみなロイド眼鏡の父になるイリュージョンも面白い。下半身だけのマネキンを宙づりさせ、上半身は床の穴から突き出すのも、不思議な浮遊感が感じられた。