実演鑑賞
満足度★★★
佐々木蔵之介の硬軟自在の演技は、ヘンリーの本心がどこにあるのか全くつかめない。リチャードに王位を譲ると言ったのに、いざリチャードがフランスの領土を手放すのを嫌がると、ジョンに王位を譲るのに変えるとか。いうことが二転三転する。一方、エレノア(高畑淳子)の方はわかりやすい。ヘンリーをとにかく愛している。なのに、ヘンリーは美しいロザリンドに心を奪われた。自分は愛を得られないために、あの手この手で振り向かせようとするが、ために逆に疎まれ、幽閉された。またお気に入りのリチャードに王位を継がせたい。一貫しているし、誇張のツボを押さえた演技も笑いを誘う。史劇というより、父親の気まぐれと術策に振り回される夫婦と父子の家族劇である。
意外におもしろいのが、両親どちらからも忘れられた次男のジェフリー(永島敬三)。二幕冒頭のフィリップの部屋で「僕がいるよ。王位を僕に譲って」と嬉々として両手を広げる姿は、哀れかつ滑稽極まりなかった。2時間半(休憩15分)