不思議の国のアリス 公演情報 文化庁・日本劇団協議会「不思議の国のアリス」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    母が森ようこさん、姉が山丸莉菜さん、アリスが紅日毬子(あかひまりこ)さん。自分の為にキャスティングしてくれたのかと勝手に思い込んで観ていた。歌にダンス、三方の幕に入った無数のスリットから飛び出す小道具。大きな脚立は死刑台にもなり、トランプのスートが入った大量のパイプ椅子は高く積まれて曲芸にも。下半身だけのマネキン、奈落を使った逆さまの上下感覚。童謡を器用にアレンジして白日夢を游ぐ追体験。曲と詩が抒情的で、投影される映像もセンス抜群。

    郵便配達夫のチカナガチサトさんが小さくて可愛い。遠近感が狂う程、小顔。
    死刑執行人、丸山厚人(あつんど)氏は美声、長身でカッコイイ。『続・荒野の用心棒』のジャンゴみたい。
    ヴァイオリン弾きの田村龍成氏の華麗な演奏は最高、ずっと聴いていられる。
    音楽担当も兼ねている諏訪創(そう)氏のドルサイナ(チャルメラ)演奏も素晴らしい。屋台のラーメン屋の呼び込みメロディーがジャズ調にアレンジされて哀愁を漂わせる名曲に。
    ピアニカ(?)の清水ゆりさんに異常に見覚えがあるのだが、何の作品が思い出せなかった。調べてみると『ぞうれっしゃがやってきた』。その時も楽器多用で見事な演奏。
    山丸莉菜さんが最高に可愛かった。御手製のフェルトの靴も素晴らしい。

    石炭を積んだまま、砂漠に忽然と消えたキャラバン隊。その行方を探し続ける探偵(伊藤俊彦氏)。
    父親(イワヲ氏)は嘗てブランコ乗りで失敗して地面に落下。人事不省の一週間を経た後、気付くとピエロになっていた。

    永井豪の傑作『手天童子』を思わせる話だった。

    ネタバレBOX

    ①砂漠から独立して共和国を名乗ったサーカス団の家族。そこに伝令が現われ、王政が復古して女王が戴冠したと告げる。女王の第一の仕事は共和国の最後の喜劇役者を処刑すること。父親が連行される。
    ②アリスは探偵と犬の協力で城内に忍び込み、囚われている父親と再会する。
    ③ライオンの王様と虎の王様に協力を仰ぐアリス。
    ④兄は空中ブランコを失敗して腕を折ってしまう。それはアリスの視線のせいであった。
    ⑤砂漠の死刑台で全ての謎を解くアリス。

    父親が人事不省の間、母親はキャラバン隊の隊長と浮気。その時に身籠ったのがアリス。母親の不安な心が作った砂漠の穴の中にキャラバン隊は落ちてしまっていた。

    『手天童子』では、無数に鬼が生まれ続ける修羅地獄のような鬼獄界の根源を主人公が探っていく。その正体は主人公の母親が幽閉された精神病院の壁に描き続ける殺戮し合う無数の鬼達の絵。それに気付いた父親が絵を壁ごとハンマーで砕く。鬼獄界は滅び、主人公は家族の元に戻る。母親のインナー・スペースこそが現実の地獄の正体であり、そこを和解救済することが物語の着地点になる。
    今作もアリス一家のインナー・スペースを治癒する話なのでは。

    前半は最高に面白いのだが、後半は飽きてくる。この手の話の終わらせ方の一様のつまらなさ。ミステリー小説じゃないんだから、種明かしをする必要は全くない。「何か変な夢だったな」でいいんじゃないか?長過ぎることと父親の行方などに全く興味が持てないことが原因か。でも前半は最高、また観たい。

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    2022/02/27 08:44

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