実演鑑賞
満足度★★★★
去年の5月にチケットを予約していたのだがコロナで中止。今回何とはなしに観てみたらかなり面白かった。(二回中止しているらしい)。竹熊健太郎や岡田斗司夫的な笑いが好きな人にはツボだと思う。オタク的分析による文化人類学系コメディ。恋愛シミュレーションゲーム(現ギャルゲー)のパイオニア、『ときめきメモリアル』の世界をリスペクトしており、そんなVRゲームの中に主人公(釜口恵太氏)が入って行く。その手のゲームに嵌った経験を持つ人には堪らない風景が広がり、ニヤニヤしっ放しのネタ満載。上からさっと降りてくる白い幕が場面転換に効果的で、投影されるゲーム画面もそれ風でセンス有り。テンポが良いので飽きずに転がり、超満員の客席は笑いの渦に揺れる。よっぽど期待値が高かったのか、開演前から熱気が凄い。作り手と演じ手の善なるフォースが、荒んだ心を和らげ好意的な受け手を作り上げた。
主人公は転校生となって高校生活を送り、卒業式後、伝説の桜の樹の下で登場人物の一人に告白する。キャラは多種多様で攻略フラグがかなり難しい。保健室の先生(踊り子ありさん)からヒントを貰い、選択肢を選んでいく。
同級生役の四柳智惟(よつやなぎともただ)氏のキャラがバカリズムを彷彿とさせる毒舌連発でかなり面白い。担任の教師役の鳥島明氏も強烈。釜口恵太氏の実直な優しさに貫かれたキャラが、ラストに観客喝采の名シーンを呼び起こす。虚構に恋したことのある全ての人々に捧ぐ。お薦め。