ありふれた惑星 公演情報 てがみ座「ありふれた惑星」の観てきた!クチコミとコメント

  • 広がりには欠けるけれど
    それぞれの物語、すごく実直に作られていて・・・。
    でも、その分深さや広がりには少々かけるような気もしました。

    「カシオペア」の物語運びが実にしたたかでちょっとやられた・・・。

    ネタバレBOX

    ・カシオペア

    物語は別れの準備を大きな軸にして進んでいきます。

    部屋のものをくじで分け合うという、かなりビターなシチュエーションが演じられていく妻と夫の時間・・・。

    二人の会話は生き生きとしていて

    でも、その会話やちょっとした工夫で回顧される時間のなかに、二人の別れる理由がなかなか見当たらないのです。

    早産で亡くなった子供のこと、互いの生活のすれちがい・・・。別れるための炎のような理由なんてないという。
    水があふれだしてくるような感覚、
    伝わってはくるし、なんとなくわかる・・・。
    わかるけれど、そこには二人の記憶を凌駕するほどの十分な厚みがなく、ラストシーンで二人がそのまま別れるのであれば、きっとこの物語には欠けているものがあまりにも多いと感じたに違いない。

    その足りなさが、物語のベクトルから踵を返して、最後のシーンへのしたたかな説得力になるなんて思わなかったです。や・ら・れ・た・・・。(誉め言葉)

    檸檬の樹のエピソードが、ベタではあるのだけれど、この物語に見事に映えていて秀逸。終演後もしばらく、檸檬についた実のことが心に残っていました。

    「鉄屑の空」

    普通におもしろかった・・・。でも、なにか一味足りないような感じがしました。主人公の一家も、従業員たちも、悪くはないのですが、個々の奥行きが良くわからない。
    工場の空気とかは何気に伝わってくるのですが、登場人物の個性やかかえているものが、ややステレオタイプであるような感じもして・・・。

    物を作るプライドとか、日々をやりくりしていくことのボリューム感のようなものが丁寧に表現されていて、観ていて飽きることはなかったのです。でも、もっと物語りに膨らみがあってもよいのではと感じたり・・。

    部品発注数の読み違いもねたとしては笑えるのですが、伏線としては見えすぎていたような気もして。

    こちらは何かが足りないという感じが結局最後まで抜けませんでした。

    そうそう、二つの物語をつなぐ鎹のようなシーンが最後にあって、これは私的に好きでした。大きな星空の下で、視野がすっと広がるような感じがしました。

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    2009/06/12 17:24

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