実演鑑賞
満足度★★★★★
#安藤百合 #笹野美由紀
#末永佳央理 #土平和加子
#日沼りゆ #若林古都美
#神野幹暁 #須藤瑞己
#福士永大 #髙倉直人
#小比類巻諒介 #椎名一浩(敬称略)
野心と欲望が火花を散らす攻防。政治とカネの密接な関係が社交界という華やかなベールの下で絡み合う。ホンモノの善か、善を装った悪か。偽善者としての証拠を挟んでの駆け引き。それを美女が色仕掛けで迫るなら、大抵のオトコは太刀打ちできない。その美女を演ずる末永佳央理さんが見事だった。まるで彫刻のような美貌が、美しくて悪いオンナの説得力を増す。辛辣な物言いで見事に嫌われ者を全うした。だからこそ僅かに見せる動揺が光り、反動の悪事が煌めく。カーテンコールまでクールを徹底した末永さん、今後の活躍が楽しみだ。
対称となる善を引き受けたのは笹野美由紀さん。一点のシミも無い盲目的な正義は時に人を追い詰める暴力性を持つ。ただ、それだけ清廉潔白な人が「あのオンナ」という言葉遣いをすることだけは違和感を感じたが、逆に言えば、それだけの感情を抱いている証ということなのかもしれない。
二幕は一幕の張り詰めた緊張感を解してコメディ色を散りばめるという宮田慶子さんの演出が心憎い。あのままスリリングに走り切るのも観てみたいが、休憩を挟んでの色の違いは楽しかった。
苦悩の戦いに勝利した上で重大な決断をする夫を立派だと讃える夫人に泣けた。それは安堵ではあったけれども、同時に恐怖でもあったような気もする。もうしばらく我が心との会話を続けてみようと思う。
我が人生も泥まみれで、叩くほどにホコリも立つ。「誘惑に手を出すのは勇気が要る」という言葉にハッとさせられた。勇気の出し方を幾つも間違えてきたのだと膝を打った。
最後に、10期生の高倉直人さんの執事が秀逸だったことを記しておきたい。
休憩20分を含めて3時間15分。
あっという間だった。