理想の夫 公演情報 新国立劇場演劇研修所「理想の夫」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    この修了公演は毎年、期待してみており、今回も期待通りの充実した舞台だった。オスカー・ワイルドというと、耽美的頽廃的作家というイメージなのに、本作は出世と愛と友情を素直にたたえるウエルメイドな舞台。皮肉な視線の影もなく、素直に人間の弱さと野心を肯定する。反社会的なワイルドは、後世が勝手に作ったイメージなのだろうか。まあ、不正や過ちを認めないピューリタン的厳格主義に対する批判は受け取れるけれど。
    最初30分の社交界のパーティーの談笑が長くて退屈に感じる。もっとも、これこそ上流社会に対するワイルドの皮肉なのだろう。小悪魔のチェヴリー夫人(末永佳央理、好演)が、主人公のロバート卿(須藤瑞己)を、過去の角栄張りの錬金術で脅し始めてからは、二転、三転、全く退屈しなかった。
    休憩後の2幕目(3場)のゴーリング子爵(神野幹暁、出演者の中で好感度は随一)の部屋のシーンは、コメディーの手法が次々繰り出されて、笑えた。次々やってくる招かれざる客、二重三重の勘違い、すれ違い、立ち聞き、と。大変面白かった。

    厨川圭子の訳は50年ぐらい前のものだろうか。「宅の主人が」「ワタクシが」「……でございますわ」「…していらっしゃいましたもの」という大仰な表現は、いくら19世紀末のロンドン社交界でも古すぎないか。20分休憩含む3時間15分だった。

    ネタバレBOX

    主人公が多少は代償を払わせられるのかと思いきや、すべてが許されて、ついには大臣にとりたてられる結末。ちょっと、無邪気すぎないかと、思わないでもない。

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    2022/02/06 00:42

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