満足度★★★★
アンハッピーな方向を目指したそうですが・・・
観劇させて頂きました。この作品はあらすじ通りのSF的サイコサスペンス作品でした。ちらしによると童話「ヘンゼルとグレーテル」とリンクした、ドロドロしたアンハッピー的な方向の作品を目指したようですが、物語の展開としてはその試みは成功していたと思います!説明するとなると意外と手間取りそうな状況設定を上手くその時その時の物語の流れに溶け込ませて、説明すること無く物語展開を難なく繰り広げておりました!確かに、途中童話を導入しながら上手くリンクさせて、結末へ向かっていました!そして、全体的に若い役者さんたちで構成された作品でしたけれども、変な言い方になってしまいますが、若い役者さんたちの演技は良い意味で器用にまとまっていました!若い役者さん主体にもかかわらず、落ち着いたものを感じさせられました!ただ、あらすじからも想像するような物語であるのならば、何らかの重みが感じられてもいいのでは?と思う点が生まれてしまいました。例えば、戦後の闇市の光景や生活がイメージ的に重なってしまうようなところがあってもいいのでは?と、生々しいまでの重みのようなものが作品全体からですと少し、薄かったような気もしてしまいました。それが、役者さんたちがまだ若いせいなのか、それとも器用に演技がまとまり過ぎていてそのようなところにまでイメージが膨らまなかったのか、なぜなのか分かりませんが、物語とその展開からすれば観劇中もう少し胃が痛くなるような思いをしてもよかったような気もします。今回の星の評価はそうは言っても、童話を巧みにリンクさせながら結末へと向かっていった物語展開と、まだ全体的に若いながらも落ち着いた演技の出来る役者さんたちを評価した星の数です。ただ、作品自体を童話的にするならばこのくらいでも良いのかもしれませんが、せっかく童話の残忍性を並行するならば、現実部分はもっと現実的な生々しい重みが感じられる作品のほうが、個人的には好みです。しかし、個人的にもっと関心があるのはハッピーエンドが好みの方が観劇されて、どのような評価をこの作品に与えるかが妙に興味があります!