実演鑑賞
満足度★★★
〈Team葉〉
前半は教職員から見た高校風景。生徒側からしか見ていなかったので、いろいろと考えるところがあった。ストレスの坩堝、病んだ人間を寄せ集めたテトリス、適当にやっていかないと気が狂う日々。今作の主人公、山口教諭(﨑山新大〈ざきやましんだい〉氏)は演劇部の顧問に柔道部まで押し付けられ、趣味的に運営している小劇団だけが生き甲斐。幼い子供を抱えた妻(篠田美沙子さん)との関係も上手く行っていない。柔道部は怪我続き、演劇部は人間関係の悪化、担任のクラスは喫煙で処分者続出、イカれた保護者(岩堀美紀さん)が怒鳴り込む毎日。
このテンポこの感じ、ワンツーワークスを思わせる。高教組やその他類似団体ネタなど着眼点が良い。組合や運動に希望を掲げる教師(堺谷展之〈さかいやのりゆき〉氏)の言説はかなり興味深い。この環境では人はそうなってしまうのかも知れない。女教師役杉本玲緒奈さんがMAXのNANAとこじはるを足したような美人。演劇部部長役の齋藤舞佳さんのじとっとした目付きがリアルで良い。
淡々としたエピソードの積み重ねは全てクライマックスの一点に向かっており、観客衝撃のラストが待っている。オミクロン旋風で東京では感染者数14086人、感染症専門の教授森内浩幸氏の衝撃の発言、「今、風邪の症状がある人はもうコロナと思って結構です」。次々に公演中止が発表される舞台。山さんの至る境地に誰もが共感するのではないか。果たしてタイトルの台詞は誰が誰に発するものとなるのか?この怒涛のクライマックスだけでも必見。お薦め。