実演鑑賞
満足度★★★★
俄然『ビリー・エリオット』が観たくなる。(元は映画で邦題『リトル・ダンサー』)。普通の大学生が偶然貰ったチケットで初めて観たミュージカル。大興奮して役者になろうと劇団のオーディションを受ける。よく分からないまま受けた劇団はシュールで難解な作風により、客足が遠のいて久しい弱小小劇団。他に誰一人応募がなかった為、年12万と月々1万の劇団費を払えば誰でも入ることが出来た。劇団の作演出を担当する津村知与支(のりよし)氏が最高。何が面白いのか判らなくなり、もう書けなくなっている。小劇団あるある連発で未知の空間に放り込まれる主人公を観客も一緒になって体験していく。主人公役の名村辰(しん)氏がプロレスラー田村潔司の若い頃を彷彿とさせる純情さ。何かに憧れ何かを無心で目指す日々は人の魂を透き通らせていくようだ。
劇団員一人一人丁寧に描写され、子供の頃から幼馴染みの二人(伊東沙保さんと成田亜佑美さん)の積もり積もった確執も一つのキー。先の見えない未完成の稽古が続く中、コロナ禍が猛威を振るい、舞台と今現在がリンクしていく。
ラスト・シーンが最高。何度も観たくなる面白さ。超満員の客席、かなりのお薦め。