朝ぼらけ 公演情報 teamキーチェーン「朝ぼらけ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    自閉スペクトラム(連続体)症とは、「自閉症」「高機能自閉症」「アスペルガー症候群」の三つに分類される。その中で知的障害を伴う者を「自閉症」と現在では呼んでいるらしい。(この辺、定義が不明確な為、はっきりしていない)。障害者の兄弟姉妹である、「きょうだい児」と云う言葉を初めて知った。

    障害のある息子(山中雄輔氏)の自立を促す為に自宅を改装した八百屋で働かせているモロ師岡氏一家。そこにバイトで田中愛実(あみ)さんが入ってくる。知的障害者への偏見、蔑視、敵意がそこら中に渦巻く世間。そこで織り成す日常の物語。

    自閉症の山中雄輔氏、更に重度の暴力を伴う自閉症のマナベペンギン氏の熱演。『聖者の行進』のイメージからか、いしだ壱成、そしてキャラクター的に香取慎吾を想起。ピョンピョン飛び跳ねるポゴダンスは甲本ヒロトの痙攣ダンスを思わせる。嘗てブルーハーツがNHKに出た際、観ていたファンの母親が「こういう人達も一生懸命頑張っているのねえ」と涙ぐんだエピソードを思い起こす。

    安未紗さんがエロいキャバ嬢みたいになっていた。思えば寺山修司作品以外の彼女を初めて観た。これはこれで魅力的。常連のお客さん役宮永薫さんが綺麗だった。

    ネタバレBOX

    周囲で軽度の知的障害者が結構働いていて、彼等の行為にうんざりする現実がある。彼等を見ていて思うのは、人に好かれる嫌われるは知能の問題ではなく、個々の人間性なのだろうと云うこと。
    自分は偏見の塊の為、この手の作品に素直に感動することが出来ない。(何某かの障害があるのかも?)。ただ、隣の男性客が声を震わせて号泣するような作品であった。障害者から目を背けずに真っ直ぐに一つずつ何度でも少しずつでも心を通わせていこうとする現実的な物語。気の遠くなるような苦悩の果てにほんの少しの笑みが零れる。介護と一緒で自分の身に降りかからないと(自分の物語だと自覚しないと)本当の意味では理解は出来ないのだろう。正解は無い。あるのは日常だけ。モロ師岡氏が言う名台詞。「未来を考えていたら私達は生きていけないのですよ。今日一日を生きていって、その先にあるのが未来なんです。」

    この手の作品で一番衝撃を受けたのが、韓国映画『オアシス』(イ・チャンドン監督)。重度の脳性麻痺のヒロインとの恋愛話なのだが、もうこのジャンルでこれ以上の作品は作れないのではないか?と思った。

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    2022/01/10 07:56

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