実演鑑賞
満足度★★★★★
平凡な青年と売れない役者たちのなんてことない話なのに、笑いが絶えず、人生の難しさと面白みを考えさせる。いい芝居だった。ある素人劇団の、2017年からコロナ禍までの3年余りを描く。
2017年11月、石田凛太朗(名村辰)の入団面接から始まる。勘違いで俳優になろうと思い立ち、勘違いで売れない劇団応募した。でだしから、ゆる〜い感じと、上出来のコントのような笑いが気持ち良い。
幼馴染のマミ(伊東沙保)とノリ(成田亜佑美)の二人の女優の、互いに相手を嫌ったり軽蔑したりしつつ、表面は仲良くしている様子が、芝居ならではの形で示される。二人は互いの関係を全く異なるものに解釈しているのが面白い。
倫太郎が年に一回、田舎の父のところに行く。父はアルコールを絶って居酒屋を経営する。父と息子の関係が、凛太郎の「ビリー・エリオット」にめちゃくちゃ感動したことと繋がる展開は、見事な伏線回収に感動した。