実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2021/12/25 (土) 19:00
自分を変えようと女性アイドルグループに入り、その中のとある女性に恋愛感情を抱くが、ある時急に暴行事件の被害者になり、そのアイドルグループも解散する。そして、暴行事件の被害者で主人公の女性は病院のベットにおり、ある時から暴行事件受けたショックと自信喪失、現実逃避感情から自分をTVで見たアナウンサーだと思い込み、かつての女性アイドルグループのメンバーに自分が受けた暴行事件に至る経緯について話を聴き、最終的には暴行事件のショックを乗り越え、かつてのメンバーたちと舞台に立つまでが描かれた、タイトルからは想像もつかないショッキングで社会派な内容の劇に、驚き深く考えさせられた。
ショッキングで社会派な劇なのに、主人公の女性の現実逃避や寂しさの空想から生まれた男の子の友達を作り出し、劇中にかなり重要な役として出てきたりと、不可思議な要素が、日常の延長線上に何気なく展開される話の持っていきかたが、ギャップがあって面白かった。
暴行を受けて、その前には憧れ恋してもいた自分が所属するアイドルグループの女性には、ある言動から気持ち悪がられ、それら両方のショックから心身共に傷付き、なかなか立ち上がれない。更に、自分は女子アナウンサーだと思いこむようにまでなるが、何とか最終的には壮絶なショックから立ち直るまでを不思議な要素も混ぜつつ、コメディ要素も入りつつだったので、深刻になり過ぎず、時に緊張しつつも肩の力を入れ過ぎず、バランス良く楽しめた。また、すぐに立ち直れなくても良い。人は、孤独に耐えられなくなって、目標を見失って、自分を見失って、自分の殻に閉じこもって、ある時何もすることが出来なくなるときだってある。それでも良い。どんなに時間がかかったとしても、気持ちの整理がついて、本当に落ち着いたら殻を抜け出そう。完全に元のようには戻れないかもしれない。そうだとしても、少しずつでも、一歩一歩踏み出してゆく勇気を持とうというメッセージに心打たれ、いきなりショックから立ち直れと言っていないことにリアリティーを感じ、共感した。
主人公のキャラも相当アクが強かったが、他のアイドルグループのキャラも、それぞれが個性的で、役者のオーバーリアクションがキャラと程よくリンクしていて印象に残った。特に、主人公が想像で作り出した人物の狂言回し的であり、時に的確なアドバイスをしてくれたり、慰めてくれたりするキャラがユニークで記憶に残った。
プロジェクターをいくつか置かれた白い箱などに投影して、劇の世界観とマッチしていて、劇に没入しやすかった。