満足度★★★★
試供では収まらない
舞台美術に呆然。「衛生上細心の注意を払って~」のアナウンスにも刺激された。
シリアスな場面でもペニスバンドによって滑稽になる、それは当人同士は必死でも、他人からすればそれこそ「覗き見たい」蜜の拠りどころなのである。
また、微動だにしない兄の主観・価値観には眼を見張るものがあり、彼だけはこの物語の中で唯一何者にも支配されず、また支配はしながらも自らソレを望むでない、自然の流れでそう行き着いているという体で生きているのが恐ろしくすらある。
崖から落ちたのは、夫の母親と、妻と、両方での捉え方をしても面白いなと思いました。苦しいことも笑いって話せるようになる、という保険屋の言い訳じみた台詞も、人間の醜い部分とささやかな希望とを見出しているかのようでした。