眠れぬ姫は夢を見る 公演情報 サヨナラワーク「眠れぬ姫は夢を見る」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    かなり良く出来ている。演出家(深寅芥〈みとらあくた〉氏)も脚本家(Arry氏)も才能がある。今敏の『パーフェクトブルー』を思わせる展開。照明とプロジェクションマッピングが素晴らしく、心象風景を氷の結晶のように美しく描き出す。地下アイドルグループ、「ネバーエンディング・ガールズ」(通称ネバガル)に加入した少女の物語。全員役名を自身の芸名のまま演じる。同じ話が違う視点から幾度も語られて、その裏側に隠された物語を観客が味わっていく構成。“熊”の存在が少女の心の闇を象徴し、『森のくまさん』の歌が効果的に使われる。
    「世界は見える所にしかないんだ。見えない所に世界はない。だから、その為に僕がいるんだ。」
    女優8人を効果的に配置し、楽しく語られていく暗い混沌。好きな人には堪らない筈。
    「夢を見る為に人は生きているんだ。さあ夢を見よう。」

    ローカル局のアナウンサー、水野奈月は地下アイドルがストーカーに襲われた事件を取材中。メンバー達に彼女について聞いて回る。

    ネタバレBOX

    2011年 ネバガルに南岡萌愛が加入。
    2014年 美澄優羽のストーカーに襲われ南岡萌愛が意識不明の重体に。その後、記憶が戻らぬまま入院生活。
    2021年 十年前の約束を下に一夜限りの再結成ライブの準備に取り掛かる。

    南岡萌愛(もえ) 主人公。狂気じみた役が板に付いている。ハロプロ顔。
    美澄優羽(みすみゆう) スラリとした長身の、目を惹く華のある美人。地下アイドルのスターから、キャバ嬢で太客と結婚というリアリティー。
    桜羽萌子 二階堂ふみに似た、今作の笑いの要。キャラ変のし過ぎで訳が分からない存在に。熟練した技量。
    丹羽(にわ)まなえ 内田眞由美っぽい、一番客に近いニュートラルな視点で物を語れる。ツッコミ担当。
    杢原朱織(もくはらしゅり) ロボットのような動きをする感情表現の希薄な変人キャラ。
    宮本朋実 ネバガルのプロデュースとリーダーを兼ねて、解散後は小さな芸能事務所の社長となる。
    水野奈月 ローカル局のアナウンサー。地下アイドル暴行事件についての特集を担当する。
    彩原双葉 主人公のイマジナリーフレンド(架空の友人)。ビーターパンを演っていた頃の高畑充希っぽい。

    孤独な萌愛の子供の頃からの心の支えとなった双葉。同性愛者の萌愛は優羽に恋をし、彼女の傍にいる為グループに加入。必要とされなくなった双葉は消えていく。萌愛は優羽の卒業にショックを受け、ストーカーの暴行事件も重なり、入院生活の中で別人格・水野奈月になってしまう。

    6年入院は長過ぎ。ストーカーの暴行ではなく、自殺未遂の方が“再生”の物語としてまとまる。奈月が萌愛の別人格であることが判明し、双葉がイマジナリーフレンドであることも衝撃的に明かされる。その後が無駄に説明をぐだぐだし過ぎで勿体無い。奈月が自分こそが萌愛であると受け入れる話を一直線に語るべき。

    死んだ振りをしてでも、耐え切れない苦しみをどうにかやり過ごし、また夢を見なくてはいけない。素晴らしい夢を。

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    2021/12/23 14:20

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  • このたびはご来場いただきまして、ありがとうございました。
    大変貴重なご感想、参考にさせていただきます。
    引き続きまして、サヨナラワークをよろしくお願いします。

    2021/12/26 09:44

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