疚しい理由2021 公演情報 feblaboプロデュース「疚しい理由2021」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    面白い! 物語は二転三転するが、芯はブレず濃密な描き方。しっかり観客の関心を掴み集中させるあたりは見事。
    生命保険の営業マンが顧客の女性と一緒に、その女性の後輩の家を訪れ加入を勧める。ありがちな状況がいつの間にか きな臭くなるが、結局真相は観客の想像に委ねられる。散々 話の真偽を焦らしておきながら、表層的には放り投げるような結末に驚かされるが、そこがまた巧みなところ。
    (上演時間55分) 【”K”チーム】

    ネタバレBOX

    舞台セットは、シンプルであるが物語の展開、その場の空気を表現するような妖しい雰囲気を漂わす。暗幕で囲い、客席に対し斜めに渡した赤い通路が上手と下手に夫々延びる。真ん中も赤い敷物の部屋(ダイニングのイメージ)で、テーブル・イスが置かれている。背面は、数本の細い支柱に赤い紐が蜘蛛の糸のように張り巡らされている。何かに絡め取られそうな感じであり、台詞にある(物事に)縛られるのが嫌だ、を表しているようにも思える。後景は抽象的であるが、物語そのものは現実(具体)的で、その対比としての舞台美術は映える。

    梗概…サスペンス・ミステリーの類であるから、詳細を書けばネタバレになる。タイトル「疚しい理由」、その説明に騙すか騙されるかとあるので、端緒だけ記すと”保険の加入”…それを巡って虚々実々の駆け引きが繰り広げられる。筋立(脚本)は、保険の営業マン・中西隆明(浅見臣樹サン)と夫を亡くした高校時代の演劇部の先輩・野口陽子(星澤美緒サン)が新婚の後輩・水田綾乃(小野里芙莉サン)を訪問 勧誘している。綾乃は、当初の保険金額を大きく上回る逆提示し驚かせるが…。身近でリアリティがあるため、物語の世界に引き込まれ次の展開が気になる。状況が二転三転し、ラストまで目が離せない極上のサスペンスドラマ。

    2006年に劇団「ブラジル」で初演したが、その時代背景、状況設定は色褪せることなく、心に蠢く疚しい感情が浮き立ってくる。騙す騙されるという心の綾のようなものが、赤紐の蜘蛛の巣で表現されているよう。この3人の(歪な)関係、誰が誰を誣いて陥れるのか。観客(自分)は、固唾を呑んで成り行きを見守っている覗き見者のような気分になる。

    役者は関係性を見事に体現しており、緊密・迫力ある演技であった。典型的な保険セールスマンの中西。中西と関係がある陽子は、綾乃への高額保険を加入させたくない思い、しかし何時の間にか綾乃に翻弄され呆れと怒り、そして愚痴といった表情と態度を自在に変化させる。綾乃は、幼く純情そうな若妻から底知れない怖さを秘めた小悪魔に豹変する。穏やかな雰囲気から段々と不穏な空気が流れ出し…。ラストの依頼とその裏に隠された事情が透けてくると、もはや疚しい以上の疾(やま)しいかも。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2021/12/22 16:44

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