vitalsigns 公演情報 パラドックス定数「vitalsigns」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    『ノンマルトの使者』や金城哲夫を思わせるガチガチの直球SF。本多猪四郎や実相寺昭雄テイスト。『アトランティスから来た男』等海外SF秀作シリーズを思い起こさせる生真面目な作風に好感。
    深海救難艇(艇長と操縦士)が救難信号を受信し、水深840mにて海底探査艇バラエナ(鯨の学名)から三名を救助。だがどうやら、その三名は人間ではない···!?

    舞台は狭い救難艇内のワン・シチュエーション。人間と、人間ではないものとの存在を巡る対話。知的快楽に満ちたSF。好きな人には堪らない。お薦め。

    ネタバレBOX

    ブラックスモーカー(高温の熱水噴出孔)から採取された熱水の中に未知のバクテリアが付着。バラエナの艇内に蒸気として充満。人間に寄生し肉体を乗っ取ることに成功。そこで初めて誕生した意識だった為、それ以前の記憶はない。兎に角生物の本能として、浮上して地上にのぼることを望む。

    西原誠吾 主人公の艇長、怒りっぽい。
    神農(かみの)直隆 中立の立場の操縦士。
    小野ゆたか 人間を乗っ取った初めの男、適応性に優れている。
    植村宏司 動きや表情で人間ではないものを見事に表現、友好的。
    堀靖明 憎々しげな物言いの男、劣っている者を見下す。

    人間ではないことの証明に体温20度、テレパシーが使えるなどがあるのだが、特に体温の件はない方がいい。何処までいっても人間と何ら変わりがないのに、明らかに違う方が恐怖。(主人公の疑いが晴れないのが厄介だが)。

    前半が滅茶苦茶面白く、『アビス』や『スフィア』的なファーストコンタクトものの興奮があった。後半になるにつれ、演劇的な隠喩にも取れる構図になってしまい、それが自分的には残念。徹頭徹尾SFに徹して欲しかったのだ。

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    2021/12/21 14:45

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