眠れぬ姫は夢を見る 公演情報 サヨナラワーク「眠れぬ姫は夢を見る」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    女優8名によるミステリアスな心象劇。その謎めきが、観客の関心を最後まで惹き続ける。物語は、役名ではなく出演者名のまま演じられるので、役柄はチラシ裏面の顔写真と名前を見れば一目瞭然。物語は2021年夏から10年前の2011年夏に遡り、ある事件を通して描いた女性の成長譚でもある。シンプルな舞台美術に鮮やかな色調のプロジェクション・マッピング、しかし それは図柄のみで 表し難い心の内を端的に示しているようだ。時代の往還はあるが、年月日が字幕表示されるので混乱することはない。公演では、女性の心象と成長する過程を楽しみたい。
    (上演時間1時間40分 途中休憩なし)

    ネタバレBOX

    舞台美術は、下手 客席に向かって二面の壁が広げられ、壁に沿うように夫々3箱馬が置かれているのみ。色調は白、ちなみに女優陣の衣装も薄淡色で、何となく浮遊感がある。その壁に幾何学模様のような図柄を映し出す。その意味合いは解らないが、色鮮やかなこともあり、状況変化であろうことにハッと思いを巡らせる効果はある。

    アイドルグループに新規加入した南岡萌愛さんは、グループで一番の人気者、美澄優羽さんに憧れていた。いつも傍におり、彼女が引退を考えていることを知り、辞めないよう懇願するが…。いつしか優羽から疎まれるようになり、グループ内でも孤立を深めていく。そして優羽のストーカーに暴行を加えられ入院する。以降、人との接触を避け怖がるようになる。そして現れたのが(彩原)双葉さん、彼女は萌愛が寂しくなった時に現れる心の友。もう1人、暴行事件を取材している水野奈月さん、グループメンバーにインタビューすることで立ち上がる萌愛像、一方メンバーのぎこちない対応に違和感を覚えはじめる。

    双葉との会話=自分の寂しさに向き合うことで心の傷を乗り越えようとする。それは双葉の存在を必要としないことを意味する。双葉の「さよなら」の言葉に被せるように「おやすみ」という。双葉は私にとってディア・マイ・フレンドという。いつかまた寂しい思いをし、再び必要となる時まで眠り夢見ること。奈月は、心の奥深くし記憶を押し込んだ自分自身。萌愛はメンバーが自分のことを取材する姿に戸惑いと悲しみを抱えていたことに気づく。色々な辛い思いを乗り越えて、夢であったコンサートへ…。

    シンプルな舞台セットだが、何回か箱馬を変形させることで情景に変化をつけ飽きさせない工夫。重くなりがちな場面も、女性ならではのフワッとした柔らかさ、しなやかさで優しく観える。また照明は鮮やかな色彩中心に諧調させるなどの工夫で支える。女優陣は事務所代表、萌えキャラ、ツンデレ、愛嬌 といったキャラをそれぞれ、宮本朋美サン、桜羽萌子サン、杢原朱織サン、丹羽まなえサンが好演。
    過去公演はオンラインシアターが中心。この演劇ユニットは新しい演劇のかたちを追求しているという。そう言えば、劇中で「ディア・マイ・フレンズ(ド)」「私は貝になりたい」などの映画タイトルが呟かれる。これもリスペクトしつつも否定し新しいエンタメに向っての活動表現なのか。「サヨナラは次のハローへの合言葉」という魅力あふれフレーズ…今後、楽しみな演劇ユニットに出会えてよかった。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2021/12/17 16:59

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  • このたびはご来場いただきまして、ありがとうございました。

    「今後、楽しみな演劇ユニットに出会えてよかった。」
    とのこと。ありがたくも嬉しい限りでございます。
    引き続きまして、サヨナラワークをよろしくお願いします。

    2021/12/20 08:29

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