溺れるように走る街 公演情報 吉祥寺GORILLA「溺れるように走る街」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    チラシと配布パンフの写真のセンスが良い。その辺で撮ってもこんな風に切り取れるものだ。色彩の使い方が上手なのか。
    お笑いコンビ「ダブルマインド」のボケ役、川上献心氏が巧い。本職のような口調、テンポ、ノリ、全く違和感が湧かない。ツッコミ役、平井泰成氏はいつもながら観客を内面へと引き込んでいく。この役者は私小説みたいな存在で、ふと気が付くと没入して深く読み込んでいる自分に気付く。稀有な存在。「ダブルマインド」のネタが観たかった。
    ラジオ番組のブースがメインなのだが、舞台美術も小道具も本当に良く出来ている、ディレクター役岡野優介氏の表情やジェスチャー、構成作家役魔都氏の風貌、まさに皆が思い描くラジオの世界だ。作者は本当にラジオが好きなんだろうなあ。インターネットが無い時代、TVではやれない笑いが深夜ラジオには満載だった。
    売れない芸人ラクーダ矢野役ヨシケン改氏も本物。「さんまのお笑い向上委員会」に出てそう。

    コンビ解散を切り出した平井泰成氏、マネージャーは病気休養という事にして休ませる。レギュラーのラジオ番組は川上献心氏が一人で何とか切り盛りする。そのラジオを姉に薦められてずっと聴いていた女子大生(山下真帆さん)、大ファンのハガキ職人(榎本悟氏)等の人生模様。ラジオ収録場面はかなり面白い。

    ネタバレBOX

    平井氏が解散を決めた理由も「何となく」なら、もう一度やろうと思ったのも「何となく」。まあリアルっちゃあリアルなんだが、街なかに流れているよくある曲のように聴き流されてしまうだけ。とにかく何かが足りない。(劇中では「ピンの方が相方が売れると思うから」となっているが、それが本気ならもう一度やる訳がない)。
    姉の脳梗塞に自分の責任を感じて、見舞いにもいけない女子大生。番組の最終回、姉が送ったハガキが読まれる。そのメッセージを受けて、病院に姉に会いに行くのがラスト。これも女子大生の気持ちに感情移入出来ない。
    誰も傷付けない優しさに溢れた世界で「何となく」悲しかったり、「何となく」嬉しかったり。
    前半が面白かっただけに、後半の無理矢理ドラマっぷりに違和感。番組を去った後の平井氏の内面こそ描くべき部分。

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    2021/12/12 11:09

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