時代絵巻AsH 特別公演 其ノ四『草乱~そうらん~』 公演情報 時代絵巻 AsH「時代絵巻AsH 特別公演 其ノ四『草乱~そうらん~』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

     タイゼツ、ベシミル。換気休憩10分を挟んで約2時間半の大作だが、一瞬たりとも目を離せない傑作。終演後の役者陣個々の挨拶がコロナ対策の為出来ないので開演前に赤備え姿の武者たちの撮影OK、早めに行くべし。(華5つ☆、追記後送)

    ネタバレBOX


      島原・天草の乱は御存知の通り1637年の年貢挑発の頃に勃発し数カ月の長きに亘り廃城になっていた原城に立て籠もり江戸幕府を震撼させた日本最大のキリシタン・農民による一揆である。神の子として総領に担がれたのが天草四朗時貞(16歳)だ。実は今作でも描かれている通り25年前の1621年に追放された宣教師・マルコスによって「25年後に神の子が現れ人々を救うだろう」と予言されていたのも歴史的事実だ。マルコスは故国に帰ったが、歴史的には乱の起こった島原の旧領主(有馬家は有名なキリシタン大名晴信を出した家系であり)・天草(を領した小西家も同様小西行長を出している)、領民にもキリシタンが多かった。因みに乱の起こった当時の島原領主は松倉勝家。今作で描かれているように飢饉の続く中、厳しい年貢の取り立て、領民への仮借なき拷問等の悪政によって知られる。天草の乱当時の領主は寺沢家で島原同様の圧政が行われたことで知られる。また今作で指摘されている如く石高の過剰申告によって唯でさえキツイ年貢がより過剰に徴収されていたのは、関ヶ原以降のかつての豊臣方大名の反乱を恐れた徳川幕府が大名の力を削ぐ為に採った政策であった。今作に登場する三代目将軍・家光の為政者としての賢さも呼び出した九州の大名たちにかつての裏切りや反目等々を一々念押ししたり、知っておるぞ、と匂わせる数々の台詞によってその政治哲学の神髄を巧みに描いていると同時に、政治とは他人を支配するテクニックと考え一種のゲーム感覚で冷酷な施策も平然と為す冷酷をも見せつける。その意を汲んで実際に幕閣の総大将として島原・天草の乱終息に途中から動くのが松平信綱、3回も幕府軍を蹴散らし神の子の噂を天草四朗に被せ総大将として担いだのがかつて信繁に仕えた森宗意軒であり、一揆軍がこれほど強かったのは、かつてこの地(島原・天草を領した有馬や小西の配下が身分を農民に落とされはしても戦国時代に戦った元武士だったという史実に負う所が大きい。こういった状況の中で天草四朗が秀吉の孫にあたるとの噂が流れたようである。今作はそのような噂をも物語の主筋に取り込む。更に大阪夏の陣で家康を追い詰め赤備えで有名な猛将真田幸村(信繁)の孫、源次郎幸村が四朗の大切な友。物語作者としての山田右衛門作が表現する者として今作の物語を紡いだことになっており、ラストで彼が物語を紡ぐ姿が描かれた後サスが入る演出は秀逸。

    0

    2021/12/10 18:14

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大