太陽は飛び去って 公演情報 Ammo「太陽は飛び去って」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2021/12/02 (木) 19:00

    舞台は1929年。
    平塚らいてう去し後の婦人運動家たちをとりまく1日の物語。
    なんとまあ濃い1日でしょうか。
    女性たちの理想と希望と、そこへ到達するための目的と手段。
    喧喧囂囂と主張する女性たちの強く美しいこと。
    そして、当時の価値観では「正しい男性像」であった男性陣や、使用人女性や子爵夫人や女学生の、それぞれの思いや振る舞いが、女性解放とは何か、フェミニズムとは何かを考えさせられる。

    当日配られる「用語集」に目を通してから観劇することを強くおすすめする。(たとえば、「無産運動」の「無産」とは、子を産まないことではなく、労働者階級のことだったりするので)

    美術と衣装がいい。
    カラーパンフレットの衣装さんのインタビュー記事はとても面白かった。(カラーパンフの人物相関図もわかりやすくていい)

    過去を生きた彼女たちの先に私たちが居て、更にこの先を生きる女性たちを思う。

    良い舞台でした。

    ネタバレBOX

    女性たちの物語なんだけれど、その女性たちをとりまく男性陣がいい。
    無産派としてバリバリ活動する妻を応援しているのに、若い女性を妾にすることを全く悪いことだと思っていない女学校の副校長(しかも私環たちの恩師)とか。
    本を読み、自分の部屋を欲しがる妻を殴り、家に閉じ込めようとしながら、心から妻を愛している子爵とか。
    当時の価値観では「良い夫」で「素晴らしい人」なんだよね。
    「フェミニズム」の和訳に悩む女学生の立ち位置もいい。若いゆえ、その純粋さと柔軟さで、誰よりも本質に近づく彼女が鳥を逃がすのは、未来への希望だと思いたい。

    追記
    ヴァージニア・ウルフに『自分だけの部屋』という作品と、『ラピンとラピノヴァ』という短編があることを(タイトルだけでも)知っていると、劇中で「ああっ!」となります。

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    2021/12/03 12:09

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