満足度★★★★★
思いがしみとおる。
競泳水着を初めて観たのは、前作の「プリンで乾杯」だった。そのときにも、構成の緻密さや展開の巧みさ、登場人物へのあたたかい目線などにたいへん好感を持った記憶がある。
しかし、この「NOT BAD HOLIDAY」は、それ以上に好きな作品となった。
若者たちの恋や夢、仕事や挫折、そういうものを描きながら、中心にひとつの家族を置いたことで、彼らのこれまで過ごしてきた時間や出会ってきた人々までも感じさせるような、そういう奥行きが感じられる気がした。
時間や場所を巧みに行き来して積み上げられていく場面が、しだいに気持ちよくひとつの流れになる。
トレンディドラマというより、生きた人間のささやかな悩みや思いがけないトラブル、誰かを思う気持ちなどが、水がしみこむように自然に心に入り込んでくる、そういう芝居だった。