実演鑑賞
満足度★★★★★
#榊菜津美 #野木伶那
#三浦真由 #梢栄
#都倉有加 #小嶋直子
#望月めいり #工藤さや
#石井舞 #Q本かよ
10人の素敵な俳優さんが、一人の女性の30代の10年を1歳ずつ演じる走馬灯。昨年の『IN HER TWENTIES』で29歳で29歳を演じた榊菜津美さんが、30歳で30歳を演じる素晴らしい企画公演。前回下手(しもて)で振り返った彼女が、今回は上手(かみて)で30代の展望をキラキラと語り、40歳を目前にしたポジションでQ本かよさんが30代を総括し、境界線を飛び越えようとする。涙もろくなる……を立証するその滴に、挫折、失望、羨望、困惑、躊躇、期待、歓喜……さまざまな感情が映る。
四捨五入。
アラサーとアラフォー。
その境界線には転機が潜む。プラスとマイナス。喜びと悲しみ。最も大きな振り幅を都倉有加さんがビタリと決めてみせる。まるでサッカー日本代表の左SB中山雄太が右MF伊東純也に大きなサイドチェンジでチャンスを生み出すように、公演を豊かにした。大迫に対する森保監督以上に、都倉さんに対する作演出の上野友之さんからの絶大なる信頼がうかがえる。うん、そうだよね……の向こう側に、彼の発した言葉が見えた。
違いを見せたのは工藤さやさん。流石としか言いようがないほどの存在感。その対極のような落ち着きを示した石井舞さんも流石。
10人が相手役になったり、それぞれの時間で同じシーンを共有したり、時と場所が見事に交差する秀作。
これは、なっちゃんのライフワークとして毎年上演したらいい。いつか20'sと30'sのセット上演も期待しよう。
■追記■
作品もキャストも素晴らしかった。
だからこそ、客席がブチ壊したらダメだ。
携帯を鳴らしたり、カバンをガサゴソしたり、ブツブツ呟いたりして台無しにしてはならない。
あまりにも演者に、送り手側に失礼。
自粛明け、こういうことが増えてやしないか。