実演鑑賞
満足度★★★★
開いてからもう十日もたつのに、ネット批評に見てきた、が一つもないのはなぜ?。??と思いながら見れば、全く隙のない完璧の舞台。主演の大竹しのぶをはじめ、巧みなキャスティング、栗山民也のよく読みこんだ演出に従って一糸乱れぬ演技、美術をはじめ、過不足ないスタッフ・ワーク。テーマはコロナで誰もが直面せざるを得なかった「死」をめぐって科学と宗教はどのように人間を救えるか。受けないはずはないのに。
ほぼ、三時間近い舞台の完成度を評価するにはやぶさかではないが、その完璧な取り組みに落とし穴があったとも思える。
昨年ロンドンで上演されたイギリスの舞台は主軸のテーマをめぐって、信仰と科学だけでなく人種、性差別、階級問題、のような一般的な問題に加えて病院の組織や経営問題、日々の生活問題、テレビ番組まで現在のロンドン市民の直面する「ドラマ的な」問題が網羅(でもないだろうが)されている。その戯曲は若干はテキストレジされているのだろうが、ほぼ上演されたものに近いと思う。違うのは「肉体を持った俳優」である。
日本の俳優が下手と言っているのではない。日本の俳優が英国俳優の真似をしても仕方がない。第一、そんなことは誰もしていないだろう。肉体にしみ込んだ英国と日本のどうしようもない違いが戯曲との距離を置かせてしまったのではないか。
このような最新の戯曲をパルコがこのスタッフ・キャストで積極的に取り上げたことは多としなければならないし、この戯曲もつまらないわけではない。この詰め込み方のうまさなどは若い作家には学んでほしいところでもある。国境を越えて、演劇を咀嚼するのは、観客も含めなかなか難しいものだとつくずく思った。
、そうでなければ、「フタマツヅキ」をこれだけ理解し、感動し芝居を楽しんだこのネットの観客がこの作品に対して黙っているのは理解できない、