実演鑑賞
満足度★★★★★
#柔らかく揺れる
#ぱぷりか
2回目。休演日を挟んで変更された演出の一つは配置。テーブルにつく場所が変わったことでガラリと印象が変わった。#用松亮 さん演じるリョウタの存在がグッとクローズアップされた気がする。もしかして父親を…?という疑念が渦巻き、川底の闇がより暗く深くなった印象を受けた。川がみんな海へと注ぎ込むように、家をみんなの集まる場所にと願った母。そこは、楽な道を選んだ人の吹きだまりとなり、人の心の底に淀む諦めや絶望や悪意を含んだ闇も流れ込んだ。
冒頭の葬儀と、ラストの一周忌は別人のモノ。その間の時間は行ったり来たりしていて、同じ時間の別の場所だったりもする。シャッフルされた時間に映るのは、彼らが抱える生き辛さの氷山の一角でしかなく、ここで語られないことが水面下に存在している。この中に殺人犯がいるのか? 一人か? 二人か?
仕事のストレスから解放された者と打ちのめされた者。愛する人が可愛がる動物にまで嫉妬する者。そうした小さな怒りの種をため込んだ先に、一体何が起きたのか。是非とも劇場で目撃者となって、事故か事件か……思いをめぐらせてみてください。