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THE BEE
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公演情報
NODA・MAP「
THE BEE
」の観てきた!クチコミとコメント
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住み込みの女(533)
実演鑑賞
満足度
★★★★★
ネタバレ
観劇予定の方は絶対に読まないように。
ネタバレBOX
野田秀樹の『THE BEE』を観劇。
アングラ演劇から始まって現在までの演劇シーンで鑑みると、今作こそが演劇史上の『最高傑作』である。
生で観れる俳優の表情、一瞬で変わる美術、見立ての旨さ、演劇の面白さが存分に感じられる。
解説
初演の日本バージョン、ロンドンバージョン。
再演の日本バージョン、ロンドンバージョン。
今作の再再演日本バージョンを入れると5回目の観劇となる。
日本バージョンとロンドンバージョンでは演出、俳優、言語も異なっている。
初演、再演の日本バージョンの主役の井戸役は野田秀樹、今作は阿部サダヲ。
初演の脱獄犯の妻役・秋山奈津子、再演は宮沢りえ、今作は長澤まさみ。
あらすじ
善良なサラリーマンの井戸が帰宅してみると脱獄犯が井戸の妻と息子を人質に取っている。
井戸は脱獄犯の自宅に向かい脱獄犯の妻と息子を人質に取り、お互いの家族を暴力で報復しあい終わりのない暴力連鎖が始まるのであった…。
感想
観劇予定の方は決して読んではいけない。
初演はアメリカ同時多発テロの影響で出来上がった作品だからか、暴力連鎖の悲劇を明確に打ち出してきていた。互いの妻を強姦し、子供の指を全部切り落とし、更に妻の指までも切り落としてしまう程だ。
再演では初演を踏襲しつつも、相手側の妻が加害者に従順していく心理も描かれている。
再再演の今作では前作を踏襲しているが、世界情勢がまるで変わったしまったからだろうか?演出をかなり変えてきている。
善良な人間であった被害者が加害者に豹変していく瞬間を目撃してしまう恐怖。
被害者が全ての力を手に入れ、独裁者になってしまう瞬間を目の当たりにしてしまう恐怖。
野田秀樹が演じた井戸はやられたらやり返すまでの暴力連鎖だったが、阿部サダヲが演じた井戸はそれを遥かに超えてしまっている。野田秀樹では成し得なかった役柄を阿部サダヲが体現してしまったのだ。
今作では鉛筆が折れる音が子供の指を切り落とす見立ての残酷なシーンは前作ほど怖くない。
朝起きて、皆でご飯を食べ、子供の指を切り落とし、妻を犯し、一緒に寝る。こんな残酷な場面を何度なく折り返し、オペラ・蝶々夫人のハミングコーラスが流れていても前作ほど悲しくない。
これこそが暴力が日常化してしまい、何も感じなくなってしまった証拠だ。初演、再演を観ている観客もこの暴力に麻痺しまっているのだ。
それに気がついた観客は更なる恐怖を感じ取るであろう。
初めて観た観客は初演と同じような恐怖を感じるだろう。
タイトルがなぜ『THE BEE』なのか?という疑問も最後の最後にやっと分かるのである。
鳴呼!! もうこれ以上の作品は永遠には現れないだろう?というほどの大傑作である。
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2021/11/10 23:36
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