実演鑑賞
満足度★★★★
未見の劇団…面白い!
陽気な群舞、渡世人風に仁義を切る、人妻と元プロレスラーの格闘といったバラエティな笑い観せ方、何より驚かされたのが、タイトルにもなっている煎餅の神様・おせん が、ある飲み物を一気飲みする、それも2回。「♬芸のためなら女房も泣かす」(浪花恋しぐれ)という歌があるが、ここでは「劇のためなら喉も鳴らす」といったプチ サービス。もちろん表層的な面白さだけではない。物語の根底は、東京・葛飾区堀切という下町の人情、それを情感豊かに描いている。そこには家族や地域との絆、さらに人の再生と(煎餅)技術の継承、そして新たな工夫が…。
おせん は、推定700歳という設定であり、時空を超え現在と過去を往還し、自身が存在する理由を説く。
もちろん商売を扱っているから、コロナ禍の状況を揶揄・諷刺し、演劇へ昇華させている。ただ物語は、2022年という1年後の設定であることから、新たな展開を模索しているようにも思える。
(上演時間2時間10分 途中休憩10分)