実演鑑賞
満足度★★★★
いわく言い難い芝居だった。松本穂歌演じる決断のできない弱い女と、藤原季節演じる身勝手男の関係が軸である。「まじ?まじ?」「ていうか」「全然、いいから、いいから」等々、現代若者の口調をそのままコピーしたような会話のリアリティーが高い。最初はグダグダした会話でしまりがないと思ったが、地震の事件から、緊迫感がぐっとます。二人の会話も同じで、男の本能的な責任回避の責める言葉と、女の次第にすがりつくように変化していく心理を示す言葉が非常にリアルだった。
幼児れんの両親が、連のシッター活動を放棄した円佳を責める言葉も、同様にリアルだった。実際はもっと激するだろうが、感情を抑えに抑えて、それでも抑えきれない言葉に人を刺すものがあった。
平田オリザ、岡田利規の現代口語演劇の系譜にまた新しい才能が登場した。