実演鑑賞
満足度★★★★
まず驚かされるのが舞台美術。この作りの意図するところは と考えを巡らせたが、観終わって そういう解釈なのかと…。冒頭は、説明にある小野小町の伝説「百夜通い」を、あやめ十八番らしい能楽のような様式美で観せているが、内容的には現代の或る事件の顛末を連想させる。だだ、前作「江戸系宵蛍」に比べると、そのパフォーマンスの意味(表したい内容は理解)するところが弱いようだ。二部構成、休憩をはさんで160分の上演時間。一部は三人称、二部は一人称のように視点を変え、物語というか人の心の深淵を覗くようだ。理屈では言い表せない人の心の複雑さ、そこに舞台美術の雑然とし整理できていない様を観る。
全体的には音楽や中世古典文学といった魅力ある演出で観(魅)せているが、自分的には、物語のベースになっているであろう事件が禍々しく、そこに現代社会(マスコミ等)の毒々しさを絡ませたため、演劇という虚構を超えて現実(想像)が勝ってしまった。リアルな重しに対し音楽や中世古典文学といった情緒的な演出、事件(現実)と演劇(虚構)の ある程度の融合は観て取れたが...。とは言え、ミュージカルとは違う音楽劇の魅力、その劇に観入らせる力は見事!
2021.10.31追記